並木鏡太郎

並木鏡太郎：映画監督、脚本家、小説家としての生涯

並木鏡太郎（1902年12月15日 - 2001年2月14日）は、大阪市出身の映画監督、脚本家、小説家であり、本名を金田寅雄といいました。彼は日本の映画史において、多様なジャンルを手がけたことで知られています。

生い立ちと映画界への進出

並木は東京の神田商工学校商科を中退後、1926年にマキノ・プロダクションに入社し、映画界でのキャリアをスタートさせました。当初は助監督を務める傍ら、「並木狂太郎」のペンネームで脚本を執筆していました。1929年には、河津清三郎主演の『夜討曾我』で監督としてデビューし、この時、名前を「並木鏡太郎」に改めました。

映画監督としての活躍

マキノ・プロダクション解散後、並木は帝国キネマ（後の新興キネマ）、東活映画社を経て、嵐寛寿郎プロダクションに入社しました。そこで、嵐寛寿郎主演の『鞍馬天狗』シリーズを大ヒットさせ、監督としての地位を確立しました。その後も、市川右太衛門プロダクションや東宝で作品を撮り続け、『剣鬼三人旅』(1933年キネマ旬報ベストテン第9位)、『二百十日』(1934年キネマ旬報ベストテン第10位)、文芸映画『樋口一葉』(1939年)など、数々の名作を世に送り出しました。

第二次世界大戦中は、松竹の移動演劇隊の隊長として全国を巡回し、戦後は宮城千賀子一座やマキノ芸能社などで舞台の台本執筆や演出を手がけました。

1949年には『右門捕物帖・謎の八十八夜』で映画界に復帰し、主に新[[東宝]]で娯楽映画を監督しました。そして1960年、ホラー[[映画]]『花嫁吸血魔』を最後に映画監督としての活動を終えました。

小説家としての才能

映画監督業から引退後、並木は小説家としての才能も開花させました。1983年には、自伝的長編小説『眞吉物語 魚紋』を発表。明治時代末期から大正時代にかけての少年の成長を叙情的に描いた作品で高い評価を得ました。また、病床の中、マキノ撮影所を舞台にした自伝的な長編小説『京都花園天授ヶ丘 マキノ撮影所ものがたり』を執筆し、その作品は彼の死後に出版されました。

主な監督作品

夜討曾我（1929年）
剣鬼三人旅（1933年）
二百十日（1934年）
樋口一葉（1939年）
右門捕物帖・謎の八十八夜（1949年）
花嫁吸血魔（1960年）

著作

眞吉物語 魚紋（1983年）
京都花園天授ヶ丘 マキノ撮影所ものがたり（2003年）

並木鏡太郎は、映画監督としてだけでなく、脚本家、小説家としても多才な才能を発揮し、日本の映画史、文学史にその名を刻みました。彼の作品は、時代を超えて多くの人々に感動を与え続けています。

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