並河天民

並河天民（なみかわ てんみん）は、延宝7年（1679年）に生まれ、享保3年（1718年）に没した江戸時代中期の儒学者です。本名を良弼（りょうひつ）、後に亮（あきら）と改め、字を伝亮（でんりょう）または簡亮（かんりょう）と称しました。通称としては勘介（かんすけ）または庄蔵（しょうぞう、正蔵とも）を用いていました。

天民は、儒学者である並河誠所（なみかわせいしょ）の実兄、並河宗弥（なみかわそうや）の子として、山城国紀伊郡横大路村（現在の京都府京都市伏見区）に生を受けました。幼少の頃から、父や兄の影響を受けて儒学に親しみ、学問の基礎を築きました。

元禄4年（1691年）には、兄である誠所とともに伊藤仁斎（いとうじんさい）の門下に入り、堀木之舎（ほりきのしゃ）において古義学（こぎがく）を学びました。しかし、仁斎の死後、天民は仁斎の唱えた説を批判し、兄とともに新たな学説を提唱しました。この学派は後に、仁斎の子である伊藤東涯（いとうとうがい）の学説と対立し、本草学や医学など多様な学問を包含する天民の学派と、東涯の学派に二分されるほどの影響力を持つようになりました。

また、天民は学問の世界にとどまらず、政治的な活動にも関与しました。蝦夷地（現在の北海道）を日本領とする開拓に関する意見書を刊行するなど、政治面でもその才能を発揮しました。

天民の主な著作としては、以下のものが挙げられます。

天民遺言: 天民の死後、弟子たちが彼の遺稿を編纂してまとめられた著書です。
かたそきの記:
兵法印可二則
闢彊録:
* 疑語孟字義

並河天民は、儒学者としてだけでなく、思想家、政治家としても多才な人物であり、江戸時代中期における学術・文化の発展に大きく貢献しました。彼の学問に対する姿勢や政治的な活動は、後世に大きな影響を与え、現在でもその功績は高く評価されています。

並河天民講学所跡 - 京都観光Navi（京都市観光協会）

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