中一弥

中一弥（なか かずや）

日本の挿絵画家、中一弥（本名：中 福寿）は、1911年1月29日に大阪府で生まれ、2015年10月27日に104歳で亡くなりました。

人物

門真市出身の中一弥は、主に時代小説の挿絵画家として活躍し、山本周五郎、藤沢周平、海音寺潮五郎、池波正太郎、山手樹一郎、野村胡堂など、多くの著名な作家の作品に彩りを添えました。小説家の逢坂剛は彼の三男であり、その作品の挿絵も担当するなど、家族との繋がりも大切にしていました。

年譜

幼少期には栄養失調により右目を失明するという困難に見舞われましたが、それを乗り越え、1927年に挿絵画家の小田富弥に師事。1929年には、小田富弥の推薦により直木三十五の新聞連載小説「本朝野士縁起」の挿絵でデビューを果たしました。

その才能は高く評価され、1971年に第6回長谷川伸賞、1993年には第41回菊池寛賞を受賞。1996年には勲四等瑞宝章を受章するなど、数々の栄誉に輝きました。

晩年も創作意欲は衰えず、2009年2月16日から朝日新聞全国版で連載された乙川優三郎作の朝刊小説「麗しき花実」の挿絵を担当。この作品では、主人公の蒔絵師「理野」のイメージとして、ZARDの坂井泉水をモデルにしたことを明かしています。朝日新聞のインタビューで「理野を描く時は、いつも泉水さんのことが頭にある。写真を見て憂いを含む顔に心引かれまして。」と語り、そのインスピレーション源を明らかにしました。

2014年には、第48回吉川英治文化賞を受賞。長年にわたる功績が改めて評価されました。

2015年10月27日、津市内の病院で肺炎のため永眠。104歳という長寿を全うしました。

参考文献

中一弥・末國善己『挿絵画家・中一弥 -日本の時代小説を描いた男』（集英社［集英社新書］、2003年2月）

関連項目

池波正太郎
逢坂剛
海音寺潮五郎
* 山手樹一郎

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