中井猛之進

中井猛之進について

中井猛之進（なかい たけのしん、1882年11月9日 - 1952年12月6日）は、日本の著名な植物分類学者であり、その業績は国内外に広がります。岐阜県で生まれた彼は、東京帝国大学で学び、多くの植物学の分野で功績を残しました。

学歴と職歴

中井は1904年に山口高等学校を卒業して東京帝国大学に入学し、松村任三から植物学を学びました。1908年には東大の小石川植物園に勤務し、以降の研究活動の基盤を築きました。1910年に彼は「Flora of Korea」を出版し、朝鮮半島の植物に関する研究を進めました段階で、国際的にもその名は知られるようになりました。

1920年には自然調査の際に北硫黄島での石野遺跡の発見に関与し、1922年には息子の中井英夫が誕生します。1927年には朝鮮植物の研究に対して日本学士院桂公爵記念賞を受賞し、1930年には東京大学の教授となり、小石川植物園長も兼務することになります。

植物分類学への貢献

中井は、特に朝鮮半島の植物研究に力を入れ、多くの新しい植物種を命名しました。彼が名付けた例としてミヤギノハギやチョウノスケソウ、ノジギクなどがあり、さらにハナブサソウは彼が命名した朝鮮特有の植物の一つです。2019年に韓国で発表された報告によれば、朝鮮半島の527種の特産植物のうち327種が中井の名を冠しています。

また、彼は特にセリ目やインドカラムス属、ムニンヤツデ属など新たな分類を確立しました。数多くの植物に献名も行っており、トガリバマキやチチジマイチゴ、チョウセンカメバソウの名前は彼の名を冠しています。

学問と教育

教え子には数学者や生物学者が多く、伊藤洋、小林義雄、前川文夫、北川政夫など多くの才能を育てました。彼は教育者としても非常に影響力があり、彼の教えを受けた学生たちは各自の分野で大いに活躍しています。

著作と研究

中井はさまざまな著作を残しています。1927年から1932年には「朝鮮森林植物編」をまとめ、また1938年から1940年には「大日本植物誌」の監修を行いました。彼の研究は専門誌にも多く発表され、「竹と笹」や「日本本部ノ竹ト笹」に関する論文が存在します。

最後の業績と遺産

戦時中の1943年から1945年まで、彼はボゴール植物園の園長を務め、日本軍が植物園の資源を奪おうとした際には運営者としてそれを阻止しました。また、1949年には国立科学博物館の館長に就任し、1952年にその生涯を終えます。彼の名は、今でも植物分類学や植物研究の分野において重要な存在として語り継がれています。

中井猛之進の業績は、彼自身の名前が付けられた様々な植物と共に、今も科学界で活躍しています。彼の研究が今後の植物分類学の基盤となることは間違いありません。

もう一度検索