中国と国際連合

中国と国際連合の関係

中国と国際連合（国連）の関係は、20世紀後半の国際政治における重要な転換点を象徴しています。設立当初は中華民国が中国の議席を占めていましたが、国共内戦を経て中華人民共和国が成立。1971年のアルバニア決議により、中国の代表権は中華人民共和国へと移り、国際社会における勢力図を大きく塗り替えました。

歴史的背景

中華民国の加盟と初期の活動 (1945年-1971年)

第二次世界大戦の戦勝国の一つである中華民国は、1945年の国連創設時から加盟国でした。安全保障理事会の常任理事国の一員として、国際社会で重要な役割を果たしていました。しかし、1949年に国共内戦で中国共産党が勝利し、中華人民共和国を樹立。中華民国は台湾に拠点を移しましたが、国連における中国の代表権は依然として中華民国が保持していました。

冷戦時代、アメリカ合衆国とその同盟国は、中華民国を支持し続けました。これは、共産主義の拡大を阻止するという戦略的な思惑が背景にありました。しかし、イギリスやフランスなど一部の西側諸国は、中華人民共和国を承認し、中華民国との国交を断絶しました。

代表権の交代：アルバニア決議 (1971年)

1970年代に入ると、国際情勢は大きく変化しました。米ソ対立の緩和、中ソ対立の深刻化、そしてベトナム戦争の影響など、様々な要因が絡み合い、アメリカは対中政策の見直しを迫られました。1971年、ニクソン大統領の特使としてヘンリー・キッシンジャーが秘密裏に中国を訪問し、周恩来首相と会談。米中関係正常化への道筋が築かれました。

同年10月25日、国連総会はアルバニア決議（決議2758）を採択。これにより、中華人民共和国が中国の唯一の合法的な政府として承認され、中華民国は国連における議席を失いました。この決議は、国際社会における中国の地位を確立する上で、決定的な出来事となりました。

中華人民共和国の国連加盟後の活動 (1971年以降)

中華人民共和国は、1971年の国連加盟以来、積極的に国際社会に関与してきました。安全保障理事会の常任理事国として、世界の平和と安全の維持に貢献しています。また、開発途上国の支援や地球温暖化対策など、様々な分野でリーダーシップを発揮しています。

しかし、中国の国連における活動には、批判的な意見もあります。人権問題や南シナ海問題など、国際社会との間で意見の相違が見られることもあります。また、拒否権の行使をめぐっては、その正当性を疑問視する声も上がっています。

中華民国の再加盟の試み

中華民国は、国連からの脱退後、様々な形で国際社会への復帰を試みてきました。1993年以降、毎年、国連事務総長に覚書を提出し、国連への参加を訴えてきました。また、2007年には「台湾」の名で正式な加盟申請を行いましたが、国連法務部によって却下されました。

中華民国の再加盟の試みは、中華人民共和国の強い反対に遭っています。中国は、「一つの中国」政策を掲げ、台湾は中国の一部であると主張しています。そのため、中華民国の国連加盟は、中国の主権を侵害するものと見なされています。

現在の状況

現在、中華民国は国連に加盟していませんが、世界保健機関（WHO）などの専門機関には、「チャイニーズタイペイ」の名で参加しています。また、多くの国々が台湾との間で非公式な関係を維持しており、経済や文化など様々な分野で交流が行われています。

中国と国連の関係は、今後も国際政治における重要なテーマであり続けるでしょう。中国が国際社会でどのような役割を果たしていくのか、そして台湾の地位がどのように変化していくのか、世界中が注目しています。

その他の活動

[中華民国]]は、国連設立以前の1943年に連合国救済復興機関]を共同設立しました。また、[[世界人権宣言を起草した国連人権委員会の副委員長を務めるなど人権問題にも尽力しました。

関連項目

一つの中国 - 二つの中国 - 一つの中国、一つの台湾
中華民国の歴史 - 国民政府
中華人民共和国の歴史
国連中国語の日

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