中国農業銀行

中国農業銀行について

中国農業銀行（Agricultural Bank of China）は、世界の金融市場で重要な役割を果たす中華人民共和国の商業銀行です。中国銀行、中国工商銀行、中国建設銀行と合わせて「中国四大商業銀行」とされ、国内外で多くの支店を展開しています。銀行の本店は北京に位置し、全国31の省、自治区、直轄市及び新疆生産建設兵団に一級分行を設置しています。また、大連、深圳、青島、寧波、アモイにも直属分行があります。

この銀行は主に農村部に重点を置き、多数の店舗を保有しているため、四大商業銀行の中でも店舗数は最大です。さらに、東京、ニューヨーク、シンガポール、香港、マカオ、ソウル、ドバイ、フランクフルト、シドニーといった国際都市にも支店を持ち、ロンドン、モスクワ、ルクセンブルクには現地法人を設置しています。また、台北などには海外駐在員事務所も設立されています。長春、天津、武漢には養成学校が開設されており、次世代の人材育成にも力を入れています。

2024年1月現在、東京支店は法人業務に特化しており、個人向けのサービスは提供していません。2020年末の銀行の総資産は27.21兆人民元に達し、貸付残高は15.17兆人民元、預金残高は20.37兆人民元、純利益は2,164億人民元でした。2021年には米国の『フォーチュン』誌の世界企業ランキングで上位にランクインし、利益ベースでは世界第29位に位置付けられています。また、イギリスの金融専門誌「ザ・バンカー」のランキングでは、Tier1資本の規模で世界第3位にランクされています。香港では「八行五保」の一員として知られています。

2020年末時点で、農業銀行の個人顧客数は8億6千万以上であり、国内には2万2938店舗が展開されています。さらに、2009年の新規融資額は過去最高の1兆人民元に達し、これはニュージーランドの国内総生産を超える規模となりました。

株式上場の歴史

中国農業銀行は2008年10月に株式会社化に向けた改革が決定され、その後、2010年7月に上海株式市場と香港株式市場に上場しました。この際の資金調達額は193億米ドルに及び、追加募集が行われた場合は220億米ドル以上となる見通しであり、これは世界最大規模の新規株式公開（IPO）となります。H株の公開価格は3.2香港ドルを予定していました。2020年末の不良債権率は1.57%であり、不良債権率は他の商業銀行と同様に上昇傾向にあります。しかし、農村部に広範囲にわたる顧客基盤があることから、海外での新たな株式上場の見通しは未だ定まっていません。

沿革

中国農業銀行の起源は1951年に設立された農業共同銀行に遡ります。この銀行は、中国農民銀行および共同銀行の合併によって誕生しましたが、1952年には中国人民銀行と合併し、一時消滅しました。しかし、1955年に中国農業銀行として独立し、その後は社会主義体制のもとで地方金融や農業に対する開発、融資を主な業務として担当しました。

1979年には商業銀行に組織形態を変更し、1994年には農業政策関連の部門を分離し、中国農業発展銀行を設立しました。また、1998年には不良資産の処理を進め、新旧分離方式により不良債権を分離。分離された不良債権は中国長城資産管理公司への移管が行われました。

続いて、今日も国内外で中心的な役割を担い続ける中国農業銀行は、金融業界において引き続き重要な存在です。

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