中国高速鉄道CRH3型電車

中国高速鉄道CRH3型電車

中国高速鉄道CRH3型電車は、中国国鉄が導入した高速鉄道車両で、ドイツ・シーメンス社の技術供与を受けて中国の車両メーカーが製造しています。技術移転を基にライセンス生産されたCRH車両は「和諧号」と呼ばれています。

この項目では、CRH3型電車に加え、発展型であるCRH380B型電車とCRH380C型電車についても解説します。

概要

中国は、各国の高速鉄道技術を導入するために、複数の企業と製造契約を結びました。CRH3型は、その中でもICE3（ドイツの高速鉄道車両）をベースに開発されたもので、最高速度300km/h台の高速鉄道用と、200km/h台の在来線高速化用の計100編成が製造されることになりました。

そのうち60編成については、ICE3をベースとした車両を現地企業との合弁で納入することが決定され、3編成はドイツで製造、残りは中国への技術移転によって製造（北車唐山）されました。2008年8月1日には、北京・天津高速鉄道の開通に合わせて、新幹線E2系1000番台をベースとしたCRH2C型とともに、350km/hでの営業運転を開始しました。

その後、広州と武漢を結ぶ武広旅客専用線にも投入されましたが、ベースとなったICE3が連続した高速運転を想定した仕様ではなかったため、運行開始当初は故障が相次ぎました。

CRH3(CRH3C)のヴェラロとの違い

CRH3型は、ICE3（ヴェラロ）をベースにしていますが、いくつかの点で違いがあります。

車体幅が30cm拡張され、新幹線車両と同様に1列に最大5席が設置されています。
大半の座席に、新幹線E2系やCRH2とほぼ同じ形状の回転式クロスシートが設置されています。
営業運転時の最高速度は350km/hです。
渦電流式レールブレーキは装備していません。
モーターの出力を1割ほど上げています。

種類・編成

CRH3C

CRH3C型電車は8両編成で組成され、1両目から以下の番号が振られます。

xxx: 編成の番号 (001-080)
ZY: 一等車
ZE: 二等車
ZEC: 二等・食堂合造車

先頭車には、二等座席の他に特等座席も設置されています。

CRH3A

CRH3A型電車は、川崎重工業の技術を基に開発された、最高速度250km/hの運転に適した車両です。CRH3C型やCJ1型で得られた技術や走行成績を基に設計されており、長春軌道客車で製造が行われています。

8両編成で組成され、1両目から以下の番号が振られます。

xxxx: 編成の番号 (3081、5230-5232)
ZY: 一等車
ZE: 二等車
ZEC: 二等・食堂合造車

CRH380B

CRH380B型は、ドイツ・シーメンス社の技術をベースとしたCRH3の発展形で、最高営業速度380km/hを目指す高速鉄道車両です。8両編成のものはCRH380BおよびCRH380BG、16両編成のものはCRH380BLと区分されます。

生産は北車唐山および北車長春が担当し、2011年に営業運転を開始しました。

2011年1月9日には、CRH380BLが時速487.3kmを記録し、通常営業用車両での世界最高速度を更新しました。

種類・編成

CRH380B: 8両編成
CRH380BG: 8両編成、耐寒設備付き
CRH380BL: 16両編成、ビジネスカーを含む

CRH380C

CRH380Cは、京滬高速鉄道向けにCRH3CやCRH380BLをベースに開発された高速鉄道車両で、中国の独自開発品とされています。空気抵抗や騒音対策が施されており、前面形状も変更されています。

デザイナーはICE3と同様にアレクサンダー・ノイマイスターが担当しました。

電装品の一部には日立製作所製のものが用いられています。

種類・編成

CRH380CL: 16両編成

リコールと復帰

2011年に発生した高速鉄道事故を受けて、CRH380B型車両が回収されましたが、その後改修され、2011年12月までに全ての編成が復帰しています。

関連項目

中華人民共和国の高速鉄道
中国鉄路高速
和諧号
* ヴェラロ

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