中坊秀祐

中坊 秀祐についての考察

中坊秀祐（なかのぼう ひですけ）は、戦国時代から江戸時代の初めにかけて活躍した著名な武将であり、また奈良奉行としても知られる人物です。彼の本名には「英祐（えいゆう）」という可能性も指摘されていますが、ここでは中坊秀祐に関しての重要な歴史的背景やエピソードを紹介します。

中坊氏の由来

中坊氏の起源は、平安時代の学者である菅原道真の子孫から始まります。柳生永珍の弟が山城国の笠置寺の宗徒となったことを端に、中坊氏という名を名乗るようになりました。一時、奈良氏として知られていましたが、秀祐の曽祖父である秀友が中坊氏を名乗ったことにより現在の氏名が定着しました。また、藤原北家の一族であるという系譜も残されています（『寛政重修諸家譜』参照）。

生い立ちと若年期

秀祐は天文20年（1551年）、中坊盛祐の次男として生まれました。彼の家系は室町時代以降、筒井氏の配下にありましたが、それによって武士としての地位が安定しているわけではありませんでした。永禄2年（1559年）、松永久秀が大和国に侵攻し盗賊的な戦闘が始まると、中坊氏の立場は危うくなります。この年、秀祐の父中坊讃岐守が久秀の春日社参拝に従い、また八年後には秀祐自身が松永方から筒井方に転じた井戸氏を支援し、軍を率いて井戸城に入っています。

松永久秀との関係

永禄5年（1562年）、興福寺の問題について松永久秀に裁定を依頼することとなり、秀祐はその取次を行なっています。この背景には、秀祐が人質として多聞山城にいた可能性があることが影響しているとされます。しかし、この時期に秀祐は松永久秀の家臣として近しい関係を築いていくことになります。永禄11年（1568年）には、秀祐は久秀の重臣竹内秀勝の娘と結婚し、ますますその関係は強固なものとなりました。

筒井家への帰参

しかし、中坊家は元亀2年（1571年）に筒井側に再び帰参することになります。この頃には、秀祐は筒井順慶の内衆として筒井城に駐留し、天正11年（1583年）には羽柴秀吉の命によって「大名」としての地位を得ます。この時、彼の石高は300石から800石に増加します。秀祐は彼の忠義から次第に権力を握っていきました。

権力の頂点からの転落

天正12年（1584年）、筒井順慶が死去すると、その後を定次が引き継ぎました。しかし、秀祐は徐々に権力をますます増し、周囲との対立が深まっていくことになります。特に島清興との対立が顕著になり、最終的には清興を讒言し、筒井氏から追放するに至ります。

筒井騒動とその後

慶長13年（1608年）、秀祐は駿府城に赴き、定次の不正を徳川家康に訴えます。この訴えがきっかけとなり定次は改易され、秀祐は幕臣に取り立てられ、奈良奉行に就任しました。そして、3500石の知行を得ることになります（『寛政重修諸家譜』）。

死去と後継者

しかし、慶長14年（1609年）2月29日、秀祐は伏見にて死去しました。暗殺されたという説も存在しますが、その真相は不明です。家督は嫡子の秀政が継ぎ、彼の名も歴史に名を刻みました。

結論

中坊秀祐の名に関しては「英祐」という説もあります。田中慶治の研究によると、彼は興福寺官符衆徒沙汰衆を世襲する家系であり、得度を受けた際に「飛騨公英祐」と改名したことが記録されています。最終的に彼の名は史料の中でも複数の解釈が存在しており、彼がどのように記録され、名が伝えられてきたのか、その多様性が彼の歴史をさらに興味深いものにしています。

もう一度検索