中山勝政

中山勝政（なかやま かつまさ）

中山勝政は、生年不詳ながら永禄2年（1559年）頃に没したとされる戦国時代の武将です。浦上氏に仕え、備中守を名乗っていました。

実名判明の経緯

江戸時代の地誌や軍記物では中山信正と記されていましたが、近年の研究で天文年間末期から永禄年間初期（1540年代後半から1550年代）にかけての中山備中守が穝所久経に宛てた書状が発見されました。この書状には「勝政」という署名と花押があり、実名が勝政であることが有力視されるようになりました。

生涯

勝政の父である晴政は、山科家領の備前国居都庄の代官である備前薬師寺氏の一族または部下として、年貢の京進を行っていました。この頃から宇喜多氏との関わりがあったとされています。

勝政は沼城を領する国人領主として、浦上政宗・宗景兄弟の対立の中で活動していました。しかし、最後に活動が確認される永禄2年（1559年）8月29日以降、消息を絶ちます。その後の永禄5年（1562年）末までの間に、兄弟の和睦の際、島村盛貫と共に殺害されたとされています（大友宗麟書状 田村文書）。これは、備前を完全に影響下に置こうとする宗景にとって、勝政が邪魔な存在であったためと考えられています。事実、勝政の死後、浦上宗景は居都庄を押領し、数年後には山科家の代官として認められています。

伝承と史実

説話では、「勝政は娘を宇喜多直家に娶らせることで、直家の策謀から逃れようとしたが、浦上氏の征服を目論む直家によって謀反の容疑をかけられ、永禄2年（1559年）に暗殺された。死後、その所領は直家に奪われた」とされています。しかし、これは浦上氏や毛利氏による在来勢力の排除を「直家による暗殺」として責任転嫁したものではないかと考えられています。

参考文献

島村豊「浦上家宿老、島村氏の研究（一）」 『岡山地方紙研究 145号』 岡山地方紙研究会 2019年8月
畑和良 「宇喜多和泉守宛「晴政」書状再考」『戦国史研究』第八〇号 戦国史研究会 2020年8月 pp.28-29

もう一度検索