中山南加

中山南加（なかやま なか）

中山南加は、慶応元年（1865年）に生まれ、昭和25年（1950年）に没した、幕末から昭和時代前期にかけての華族女性です。結婚後は嵯峨南加と名乗りました。父は中山忠光、母は恩地トミで、明治天皇の生母である中山慶子の姪にあたり、明治天皇とは従妹の関係にありました。

生涯

幼少期

南加は、父・忠光が暗殺された半年後、長府（現在の下関市長府）で生まれました。当時の長州藩は内紛が絶えず、南加とその母は、身の危険から逃れるため、住居を転々とする逃亡生活を送りました。その後、毛利氏が南加を保護し、山口で養育することになりました。野村望東尼が養育係となる話もありましたが、実現には至りませんでした。明治維新後、南加は毛利元徳の養女として東京の中山家に送り届けられました。

6歳で上京した南加は、中山家の祖父母と初めて対面しました。祖父母は、若くして亡くなった息子の忘れ形見である南加を、実の娘として大切に育てました。

公家の姫として

9歳からは、跡見花蹊が主宰する寺子屋に寄宿し、15歳まで学びました。この頃、中山家では後の大正天皇である明宮を養育しており、南加は学校から帰ると、侍女たちと共に明宮の病気平癒を祈り、日比谷の大明神に百度参りをする習慣を4年ほど続けました。また、女子学習院の第一期卒業生でもあります。

19歳で嵯峨公勝に嫁ぎ、実勝、実英、淑子、幾久子の二男二女をもうけました。嵯峨家は中山家と親密な関係であり、幕末には共に勤皇運動に携わっていました。この結婚は、伯母である中山慶子の強い勧めによるものでした。

昭和時代

南加の孫にあたる浩は、満州国皇弟・愛新覚羅溥傑に嫁ぎました。浩が皇太后に挨拶をする際には、南加が宮中言葉や行儀作法を指導しました。後半生は夫と別れ、長男・実勝の元で暮らしました。昭和25年（1950年）に86歳で亡くなりました。

幼少期は波乱に満ちていましたが、南加自身はその記憶を持たず、公家の姫として成長しました。嫁ぐまで米は自然に湧いてくるものだと思っていたという逸話があります。母のトミが南加を背負って逃げる際、腰に括り付けたゆで卵を南加が足で潰して遊んでしまったという話は、トミから南加へ、そして孫の公元へと語り継がれています。

人物

南加は、激動の時代を生き抜いた女性でありながら、公家の姫としての品格を保ち続けました。その生涯は、日本の歴史における華やかな側面と、その裏にある苦難を象徴しています。また、彼女が繋いだ皇室との血縁は、その後の歴史にも大きな影響を与えました。

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