中山弥次右衛門

中山弥次右衛門の生涯

中山弥次右衛門（なかやま やじえもん、生年不詳 - 天和3年5月25日（1683年6月19日））は、江戸時代前期に活動した武士で、新発田藩に仕官していた。彼は赤穂浪士の一人である堀部武庸（堀部安兵衛）の実父として知られ、その生涯は波乱に富んでいる。

幼少期と家族背景

弥次右衛門の父もまた新発田藩士であり、江戸で300石の知行を有していた。しかし、正保2年（1645年）に父が亡くなったために、彼は家督を相続し、通称を引き継いだ。彼の家族には、妻と子供たちがいたが、家業を継ぐという負担と責任は彼に大きな影響を与えたに違いない。

藩士としての役割

弥次右衛門は、承応2年（1653年）に新発田城での勤務を命じられ、250石を与えられた。藩士としての彼の生活は、他の藩士と同様に責務が重く、またその後、組頭の娘と結婚することで新たな社会的地位を得ることとなる。子供たちには、長女ちよ、次女きん、三女がいたが、長女のちよは夭折し、次女きんは豪農の長井弥五左衛門に嫁ぎ、三女は溝口家の家臣に嫁いでいる。

経歴の変遷

しかし、弥次右衛門の藩士としての地位は、次第に不安定になっていったようである。彼の勤務態度に問題があったのか、後には200石に減俸され、最終的には浪人という境遇に追い込まれる。浪人となった経緯については諸説あり、最も有力な説は、天和3年（1683年）に城の櫓の管理を任されていた際、失火により櫓を失った結果、藩を追われたというものである。

亡き後の影響

浪人になった直後、弥次右衛門は天和3年に亡くなり、長徳寺に葬られた。その際の法名は釈休誓で、新発田藩士としての彼の歩みは閉じられた。彼の遺児でもある中山安兵衛は、母方の実家に引き取られるが、その後は姉の嫁ぎ先で生活することとなる。安兵衛は若い頃に江戸へ出て、高田馬場の決闘でその名を馳せ、最終的には堀部金丸の婿養子となることで、堀部武庸としての新たな運命を歩み始めた。

まとめ

中山弥次右衛門の人生は、新発田藩の伝統とその背負っていた重圧の象徴でもあった。彼の功績や悲劇は、後に赤穂浪士に名を残す子供たちの運命にも影響を与え、その歴史の一部となっている。弥次右衛門の物語を通し、当時の武士の生き様やその矛盾、そして藩の生活がいかに厳しいものであったかを知ることができる。

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