堀部金丸

堀部金丸：赤穂浪士四十七士の最年長者

堀部金丸（ほりべかなまる）は、江戸時代前期に活躍した武士であり、赤穂浪士四十七士の一人として広く知られています。寛永4年（1627年）、常陸国笠間で浅野長重の家臣の子として生まれ、幼少期に父を亡くしました。その後、播磨国赤穂藩で浅野長直、長友、長矩の三代に仕え、300石の知行を得て江戸留守居を務めました。

生涯と家系

金丸の出自は、祖父の代から浅野家に仕える譜代の家臣でした。家紋は四ツ目結二ツ、本姓は源氏（近江源氏）です。彼は先妻との間に一男一女をもうけましたが、長男は不幸な事件で命を落とします。後妻との間には子はなく、養子縁組を試みましたが、藩主の許可を得られませんでした。

その後、高田馬場の決闘で名を馳せた浪人、中山安兵衛（後の堀部武庸）を婿養子に迎え入れました。この縁組は藩主・浅野長矩も承認し、金丸は隠居、武庸が家督を継いで浅野家に仕えることになりました。

赤穂事件への関与

元禄14年（1701年）、浅野長矩が吉良義央に刃傷に及んだ事件が勃発し、赤穂藩は改易されました。金丸は藩邸を離れ、一時的に複数の屋敷を転々としたのち、両国橋西側の長屋に居住しました。

金丸は、婿養子の武庸と共に仇討ちを主張する急進派の中核を担いました。大石良雄による仇討ち計画が決定すると、金丸は「浅野内匠家来口上書」の草案作成に携わりました。討ち入りの前夜には、参加者たちが金丸の自宅に集まることになっていました。

討ち入り当日、金丸は表門隊に属していましたが、高齢であったため、家僕の助けを借りながら屋根に登りました。討ち入り後、武庸の従兄の付き添いを受け、籠に乗って泉岳寺に向かいました。当初は細川綱利屋敷に預けられる予定でしたが、変更となり仙石久尚屋敷を経由して細川屋敷へと送られました。

最期とその後

元禄16年（1703年）2月4日、金丸は幕府の命により切腹しました。享年77歳。赤穂浪士の中で最年長でした。

金丸の切腹後、堀部家は細川家に仕えることとなり、明治維新を迎えます。ただし、養子縁組によって金丸の血筋は途絶えています。明治以降の堀部家からは、第九国立銀行の頭取を務めた堀部直臣など、著名な人物も輩出しています。

参考文献

金丸の生涯や赤穂事件に関する情報は、様々な史料から得られています。『耳嚢』、『忠臣蔵』巻三・史料集、福井県『南条郡史』、『日本随筆大成』、『佐藤条衛門覚書』、『御府内場末往還其外沿革図書』など、多様な一次資料・二次資料が研究に役立っています。これらの史料から、金丸の生き様、赤穂事件における役割、そして事件後の堀部家の歴史を詳細に知ることができます。現在も、赤穂浪士の墓所である泉岳寺や、遺髪塔のある日輪寺など、彼らに関連する史跡が各地に存在し、人々の記憶に刻まれています。

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