中島卓也 (野球)

中島 卓也（なかしま たくや）選手は、1991年1月11日に福岡県糟屋郡宇美町で生まれ育ったプロ野球選手です。右投げ左打ちの内野手および外野手として、長年にわたり北海道日本ハムファイターズに所属しています。チームやファンからは「タク」や「ナカシ」の愛称で親しまれています。

プロ入りまでの道のり

中学時代はフレッシュリーグの宇美スターズで野球に励みました。福岡県立福岡工業高等学校に進学すると、「1番・遊撃手」としてチームを牽引。2008年春の九州大会では、後のプロ野球選手である三嶋一輝投手らと共にチーム史上初の優勝を果たしました。野球だけでなく、高校時代には国家資格である危険物取扱者をはじめとする5つの資格を取得するなど、文武両道の才能を発揮しました。

プロ入り前、NPB球団からの評価は決して高いとは言えず、ドラフト指名のための調査書もわずか1球団からしか届きませんでした。しかし、2008年10月30日のドラフト会議で、北海道日本ハムファイターズから5位指名を受け、プロへの扉を開きました。契約金2500万円、年俸480万円（金額は推定）で入団が決定し、背番号は56に。担当スカウトは内野手経験のある岩井隆之氏でした。福岡工業高校から直接NPB球団へ入団した初の選手となります。

北海道日本ハムファイターズでのキャリア

プロ入り1年目の2009年、一軍での出場機会はありませんでしたが、イースタン・リーグでは高卒新人ながらチーム最多の97試合に出場し、犠打数でもチームトップを記録。最終規定打席に到達するも、打率は.211と低迷し、遊撃手としてリーグ2位の15失策を喫するなど課題も見えました。続く2010年も一軍昇格は叶いませんでしたが、二軍で70試合に出場し、チームトップの15犠打を記録するなど、着実に経験を積みました。

2011年4月20日、オリックス戦で二塁守備要員として一軍公式戦に初出場。この年は8試合の出場で1打席のみでしたが、1盗塁を記録しました。2012年には代走・守備要員として一軍に定着し、105試合に出場。しかし、打率は.114にとどまり、盗塁も2個でした。

転機が訪れたのは2013年です。開幕当初は代走・守備固めが中心でしたが、正二塁手・西川遥輝選手の離脱中に二塁手に抜擢されると、そのまま定位置を確保。正遊撃手・大引啓次選手の離脱時には遊撃も守るなど、内野のユーティリティープレイヤーとしてスタメン出場を増やしました。特に走塁では、その高い技術で通算23盗塁を記録し、9割を超える成功率を誇りました。打撃面でも打率を.238に上げ、初の長打と打点もマーク。これらの活躍が評価され、シーズンオフには背番号が9に変更されました。

2014年には二塁手に定着し、打順も2番を任されることが増えました。126試合に出場し、初めて最終規定打席に到達。打率.259、28盗塁を記録しました。彼の安定した二塁守備は、西川選手の事実上の外野転向にも影響を与えました。

2015年はキャリアの絶頂期の一つと言えるでしょう。パ・リーグ公式戦全143試合に初めてフル出場を果たし、自己最高の打率.264をマーク。34盗塁で自身初のタイトルとなる盗塁王を獲得し、遊撃手部門でベストナインにも初選出されました。オフには第1回WBSCプレミア12の日本代表に選ばれています。2016年も2年連続で全試合出場を達成し、パ・リーグ記録（当時）となるシーズン62犠打を記録。打率や盗塁数は前年を下回りましたが、4年連続の20盗塁を達成しました。この年、推定年俸1億円で契約を更改しました。

2017年はWBCへの参加を見送りました。そして、7月30日のソフトバンク戦（福岡ヤフオク!ドーム）で、プロ入り後初めての柵越え本塁打を放ちました。プロ9年目、723試合目にして飛び出したこの一打は、プロ野球史上、初打席から最も多くの打席（2287打席）を要した末の本塁打という、特異な記録となりました。しかし、5月に負傷し、シーズン後半は離脱。出場試合数は91にとどまりました。

2018年からは選手会長に就任。再び正遊撃手として開幕を迎え、この年は2本目の本塁打も記録。自身2年ぶりに規定打席に到達しました。2019年もフルシーズン一軍で過ごしましたが、打撃面では打率が振るわず、守備でも精彩を欠く場面が見られるようになり、先発出場が減少。FA権を取得しましたが、行使せず残留を表明し、3年契約を結びました。しかし、2020年以降は打撃不振が続き、先発出場の機会も減少傾向にありました。2021年には結婚を発表。

2022年は開幕を二軍で迎えましたが、途中昇格を果たし、8月4日には史上21人目となる通算250犠打を達成。また、8月27日にはコディ・ポンセ投手のノーヒットノーラン達成に貢献する好守を見せました。さらに、9月13日にはプロ入り後初めてセンターの守備に就くなど、新たな一面も見せました。シーズン後半には打撃も持ち直し、盗塁でも17個を記録。

2023年も二軍スタートから昇格しましたが、負傷で再び離脱。終盤に再昇格し、プロ野球史上79人目となる通算200盗塁を達成しました。しかし、怪我の影響で出場は17試合にとどまり、10年続いた連続2桁盗塁記録が途絶えました。2024年には3年ぶりの開幕一軍入りを果たし、一塁守備にも挑戦。5月21日には球団OBである田中賢介氏の通算盗塁記録を抜く204盗塁を達成しました。シーズン途中に登録抹消されましたが、クライマックスシリーズで再び一軍に昇格し出場しました。

選手としての特徴

中島選手の最大の持ち味は、軽快なグラブ捌き、優れた判断力を活かした走塁、そしてコースに逆らわない確実なバッティングにあります。スローイングもまた正確性に定評があります。守備力の高さは数字にも表れており、二塁手や遊撃手として高いUZR（アルティメット・ゾーン・レーティング）を記録。高校時代に中島選手を評価したスカウトの岩井氏は、そのスローイングを見て宮本慎也氏との共通点を感じたといいます。

打撃においては、巧みなバットコントロールで際どいボールをカットし、ファウルにする技術に長けており、2015年、2016年には両リーグトップのファウル数を記録しました。通算打率は2割3分台と高くありませんが、選球眼が良く四球が多いため、出塁率は3割を超えています。

また、プロ入り前の公式戦では本塁打経験がありませんでしたが、2017年に記録したプロ初本塁打が、まさに人生初の公式戦本塁打となりました。周囲からは「努力の人」として高く評価されています。

主なタイトル・表彰・記録

タイトル: 盗塁王（2015年）
表彰: ベストナイン（2015年 - 遊撃手部門）
節目の記録:
通算200犠打（2018年6月15日 - 史上41人目）
通算1000試合出場（2020年6月30日 - 史上505人目）
通算250犠打（2022年8月4日 - 史上21人目）
通算200盗塁（2023年9月22日 - 史上79人目）
その他の記録:
シーズン62犠打（2016年 - パ・リーグタイ記録、左打者史上最多）
プロ初本塁打までの打席数2287（史上最遅）
クライマックスシリーズ通算14犠打（歴代1位タイ）
オールスターゲーム出場: 1回（2015年）

背番号はプロ入りから2013年まで「56」、2014年からは「9」を着用しています。西野カナや三代目J Soul Brothersなど、様々なアーティストの楽曲を登場曲として使用してきました。また、2015年にはWBSCプレミア12の日本代表にも選出されています。

もう一度検索