中島徳博

中島徳博：波瀾万丈の漫画家人生

1950年、鹿児島市に生まれた中島徳博氏は、貧しい母子家庭で育ちました。幼少期から新聞配達や日雇い労働で家計を支え、漫画家への道を歩み始めます。高校時代には貸本漫画でデビューを果たし、その後上京。1969年には『週刊少年ジャンプ』で商業誌デビュー、数々の作品を発表しました。

1972年から1976年にかけて連載された『アストロ球団』は、彼の代表作にして大ヒット作品となりました。しかし、過酷な連載スケジュールは、中島氏の健康を著しく害します。嘔吐や蕁麻疹、円形脱毛症、そして手の腫れなどに悩まされ、幾度となく締め切りに追われる日々を送っていました。印刷所の輪転機を止めてしまう事態にまで発展し、編集部で血判を押した誓約書を提出するなど、その苦労は計り知れませんでした。

『アストロ球団』以降も、『週刊少年ジャンプ』や『月刊少年ジャンプ』などで精力的に作品を発表し続けました。しかし、長年の過労は彼の体を蝕んでいきます。1985年、滞在先の屋久島で脳内出血で倒れ、漫画家としての活動を事実上終えます。息子の証言によると、その後は自宅で静かに余生を過ごしていたといいます。

2014年、大腸癌のため64歳で死去。その人生は、貧困と闘い、才能と成功、そして過酷な労働と健康被害、そして静かな晩年という、ドラマチックなものでした。

中島徳博の人物像と才能

中島氏は、ジャンプの先輩漫画家である本宮ひろ志氏を敬愛し、「お兄ちゃん」と呼んで慕っていたそうです。また、自身に野球経験がなかったにもかかわらず、編集部の依頼で野球漫画『アストロ球団』を執筆したという逸話があります。この不安を抱えた中島氏は、同じく野球経験のない川崎のぼる氏に相談し、安心を得たと伝えられています。

彼の作品は、少年誌を中心に多岐に渡ります。スポーツ漫画、歴史漫画、冒険漫画など、様々なジャンルに挑戦し、その多様な才能を発揮しました。その多くは、少年たちの熱意や友情、努力といった普遍的なテーマを描き、多くの読者に感動を与えました。

家族とその後

中島氏の息子、中島龍太郎氏は、金剛峯寺で僧侶を務めるかたわら、エッセイストとしても活躍しています。2014年には優駿エッセイ賞でグランプリを受賞しており、父譲りの才能を発揮しています。

中島徳博氏の作品は、時代を超えて読まれ続ける可能性を秘めています。彼の生きた時代背景、そして彼の作品世界に触れることで、現代社会における漫画の役割や、クリエイターの生き様について、改めて考える機会を与えてくれるでしょう。

主要作品一覧

連載作品
悪たれ大将軍
青春最前線
アストロ球団
コンドルの翼
スーパー戦国記
朝太郎伝
バイオレンス特急
猛者！鯉太郎
がくらん海峡
さすらい騎士道
熱球水滸伝
黄金のバンタム
よろしく春一番
わんぱく松竹梅
ふらり極道
辛口ペパーミント
ばぶれもん
おまかせベアーズ
負債同盟マネーソルジャーズ
イデア皇紀
純情ストリート

読切作品
悪友伝
ルーキー悪太郎
悪たれ騎士道（くたばれ甲子園）
球道武蔵
ゼロ戦岬
やさぐれ代紋
霧の柩
アポロの戦士
紅紫炎・ダンディ
マウンドの反逆児
そして大地
ダンシングポリス
湘南スクランブル
the BIG TEXAN
聖（セイント）!?　どあほう
勇気がいっぱい
ハードラック

単行本描き下ろし
空海

関連人物

担当編集者：後藤広喜
* アシスタント：平松伸二、さとう輝、黒咲一人、那須輝一郎、村上もとか

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