中期防衛力整備計画 (2014)

中期防衛力整備計画（平成26年度～平成30年度）について

本記事では、平成26年度（2014年4月）から平成30年度（2019年3月）までの中期防衛力整備計画（以下、「26中期防」）について解説します。

概要

2012年12月の総選挙で自民党が政権を奪還したことを受け、民主党政権下で策定された防衛計画の大綱及び23中期防は、2013年1月25日の閣議決定をもって廃止されました。新たな政権下で、南西諸島の安全確保を重視する基本方針は維持しつつも、より実効性のある防衛力整備を目指し、新たな大綱と中期防の策定作業が進められました。

2013年12月17日、閣議において「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画（平成26年度～平成30年度）」が決定・公開されました。この5年間における防衛力整備の総額は約24兆6,700億円とされ、各年度の予算編成の基礎となる実質的な防衛費は約23兆9,700億円と明記されました。差額の約7,000億円は、装備品の調達改革や効率化・合理化によって確保されることになりました。

方針

26中期防では、新たな「統合機動防衛力」の構築を掲げ、後方支援基盤の確立、情報・通信能力の向上、そしてハード・ソフト両面での即応性、持続性、強靭性、連続性を重視した防衛力の整備を目指しました。この目標達成のため、アジア太平洋地域の安定化や地球規模での安全保障環境の改善に貢献できる防衛力の育成を目標とし、警戒監視能力、情報機能、輸送能力、指揮統制・情報通信能力、島嶼部攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、宇宙・サイバー空間における対応、大規模災害への対応、そして国際平和協力活動への対応など、多岐にわたる機能・能力の強化が図られました。また、厳しい財政状況を鑑み、装備品の取得においては質と量の両面で効率性を重視し、装備品の延命や能力向上、コスト削減にも努めました。

陸上自衛隊は創隊以来の大規模な組織改編に着手しました。全国的な機動運用を可能にするため、中央即応集団を廃止し、各方面隊の機能を見直して陸上総隊を新編しました。中央即応集団の隷下部隊は陸上総隊に編入され、従来の師団・旅団を機動力を向上させた「機動師団（旅団）」へと改編しました。計画期間中に改編される2個師団と2個旅団は、機動運用に適した編制と装備を備え、機動戦闘車の導入や即応機動[[連隊]]の新編が進められました。島嶼防衛については、監視や初動対応を担う部隊の新編に加え、本格的な水陸両用作戦能力を持つ連隊規模の水陸機動団が新編されました。戦車は約300両まで削減され、北海道と九州に集約され、特科部隊も方面隊直轄の特科部隊に集約されました。これにより、冷戦型の侵攻対処能力は最小限度の維持に留め、南西諸島への対応能力向上に注力しました。

海上自衛隊と航空自衛隊においては、海上優勢の確保と維持を目標とし、新装備の調達と既存装備の延命を実施しました。新大綱で示された護衛艦6隻の増勢や潜水艦の増勢、海上輸送能力と空輸能力の強化、沖縄への航空自衛隊航空団の新編などが実施されました。弾道ミサイル防衛については、イージス艦やペトリオットミサイルの能力向上、自動警戒管制システムの能力向上、固定式警戒管制レーダーの整備などが推進されました。また、日米同盟の更なる深化・緊密化に資するための措置も講じられました。

宇宙空間の利用はさらに推進され、サイバー空間における防衛については、防衛省・自衛隊のみならず関係省庁との連携を強化しました。情報機能の強化については、従来の電子・電波情報に加え、情報収集衛星や滞空型無人機による監視など情報収集機能の多様化と分析能力の向上、人的情報収集機能の強化を目的に防衛駐在官の増員も行われました。

新たな外交・安全保障政策の下、国際平和協力活動のみならず、二国間および多国間での防衛協力・交流の推進、海洋安全保障の確保、軍備管理や軍縮および不拡散の努力への協力も推進されました。

防衛省内では、知的基盤の強化が示され、防衛研究所を市ヶ谷地区へ移転し、政策立案部門等との連携を促進させました。さらに、アメリカ合衆国やオーストラリアをはじめとする諸外国の研究機関との研究交流を推進し、防衛省のシンクタンクとしての機能を強化させました。

組織改編

共通

自衛隊指揮通信システム隊にサイバー防衛隊を新編
自衛隊中央病院と防衛医科大学校の高等看護学院を廃止し、防衛医科大学校に4年制の看護学科を新設
海上自衛隊及び航空自衛隊が担う陸上配備の航空救難機能の航空自衛隊への一元化に向けた体制整備に着手

陸上自衛隊

中央即応集団を廃止し、陸上総隊司令部を創設
連隊規模の複数の水陸両用基本作戦部隊等から構成される水陸機動団の新編
2個師団及び2個旅団の機動師（旅）団化（即応機動[[連隊]]への改編）
火砲の集約・整理（方面直轄特科隊の新編）
既存戦車部隊の整理（保有戦車の縮小及び北海道・九州へ集約配備）
与那国島をはじめとする南西諸島への部隊配備、駐屯地開設に向けた各種施策の推進

航空自衛隊

南西航空混成団の航空方面隊への改編
第83航空隊の航空団への改編

主要装備調達計画

陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、共同の部隊における主要装備調達計画については、具体的な内容は割愛します。

装備調達実績

陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、共同部隊における装備調達実績については、具体的な内容は割愛します。

脚注

本記事には脚注はありません。

関連項目

第2次安倍内閣
第183回国会 / 第23回参議院議員通常選挙

外部リンク

「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について」及び「中期防衛力整備計画（平成26年度～平成30年度）について（防衛省・自衛隊サイトより）
我が国の防衛と予算 - 平成26年度予算の概要 (PDF) （防衛省: 平成26年3月24日掲載）
我が国の防衛と予算 - 平成27年度予算の概要 (PDF) （防衛省: 平成27年4月14日掲載）
我が国の防衛と予算 - 平成28年度予算の概要 (PDF) （防衛省: 平成28年3月30日掲載）
我が国の防衛と予算 - 平成29年度予算の概要 (PDF) （防衛省: 平成29年3月28日掲載）
* 我が国の防衛と予算 - 平成30年度予算の概要 (PDF) （防衛省: 平成30年3月29日掲載）

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