中村 (茨城県)

中村（なかむら）

中村（なかむら）は、かつて茨城県真壁郡に存在した村です。現在の茨城県筑西市の北東部にあたる地域に位置しており、その領域は概ね五行川の西岸に広がっていました。

村名の由来と歴史

中村という村名は、この地域にかつて存在した「中館（なかだて）」という大字、およびその周辺地域が古くから「中村」と呼ばれていたことに由来するとされています。

村としての歴史は、明治時代の町村制施行に伴って始まりました。1889年（明治22年）4月1日、町村制が施行されるにあたり、それまで独立した村であった以下の10村が合併し、新たに真壁郡中村が誕生しました。

中館村（なかだてむら）
谷部村（やべむら）
林村（はやしむら）
石塔村（いしとうむら）
泉村（いずみむら）
口戸村（くちどむら）
樋口村（ひぐちむら）
折本村（おりもとむら）
柴山村（しばやまむら）
筑瀬村（ちくぜむら）

これらの村が合併してできた中村は、その後約65年間にわたり存続しました。しかし、昭和の大合併と呼ばれる市町村合併の流れの中で、その姿を消すこととなります。1954年（昭和29年）3月15日、中村は真壁郡内の大田村、嘉田生崎村、河間村、五所村といった他の村々と共に、当時の下館町に編入されました。この編入と同時に中村は廃止され、自治体としての歴史に幕を下ろしました。編入された下館町は、その後の市制施行を経て下館市となり、さらに平成の大合併により現在の筑西市の一部となっています。

村域を構成した大字

中村を構成していた大字は、村の成立時に合併した旧村の名前を概ね引き継いでいました。具体的には以下の10の大字が存在しました。それぞれの地名は、現在も筑西市内の町名や地域名として残っている場合があります。

中館（なかだて）
谷部（やべ）
林（はやし）
石塔（いしとう）
泉（いずみ）
口戸（くちど）
樋口（ひぐち）
折本（おりもと）
柴山（しばやま）
筑瀬（ちくぜ）

これらの大字が旧中村の領域を形成していました。

交通

中村の地域には、鉄道の駅が存在しました。当時、日本国有鉄道（国鉄）が運営していた真岡線が村域を通り、折本駅が設置されていました。真岡線は、国鉄民営化を経て東日本旅客鉄道（JR東日本）に承継された後、現在は真岡鐵道によって運営されています。折本駅は現在も真岡鐵道の駅として利用されており、当時の村域における交通の要衝の一つでした。

村内の道路網などに関する詳細な記録は、限られた資料からは明確に確認できませんが、主に地域内の各集落を結ぶ道路や、近隣の町村への連絡路が存在していたと考えられます。

参考文献等

この記述を作成するにあたり、主に以下の文献を参照しました。

角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 8 茨城県』、角川書店、1983年
日本加除出版株式会社編集部『全国市町村名変遷総覧』、日本加除出版、2006年

中村はその短い自治体としての歴史の中で、地域の結びつきを強め、発展を遂げました。五行川沿いの豊かな自然環境や、古くからの集落の営みが基礎となっていました。昭和の合併により村はなくなりましたが、その地域区分や人々の繋がりは形を変えて現代に受け継がれています。特に折本駅を中心とした地域は、かつての村の中心地の一つとして、現在も地域の生活を支えています。旧中村の領域は、現代の筑西市の一部として、その歴史を静かに物語っています。

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