中村児太郎 (6代目)

六代目 中村 児太郎（なかむら こたろう）は、1993年12月23日生まれの歌舞伎役者であり、俳優としても活動しています。屋号は成駒屋。定紋は児太郎雀、替紋は祇園守を用いています。本名は中村 優太（なかむら ゆうた）。自身の所属する事務所「ZEN-A FARM」では、取締役も務めています。

歌舞伎役者として、中村児太郎は成駒屋（中村歌右衛門家）の嫡流という重責を担っています。高祖父に五世中村歌右衛門、曽祖父に五代目中村福助、祖父に人間国宝である七代目中村芝翫、そして父に九代目中村福助を持つ、歌舞伎界屈指の家柄に生まれます。特に、女方の大名跡である中村歌右衛門家の一員として、五代目歌右衛門以来成駒屋に受け継がれる女方芸の継承者として期待されています。

そのキャリアは、2000年（平成12年）9月に歌舞伎座での初舞台で幕を開けました。この時、六代目中村児太郎を襲名し、「京鹿子娘道成寺」における所化や、「菊晴勢若駒」での春駒の童といった役を務めました。

2013年（平成25年）9月には、父である九代目中村福助の七代目中村歌右衛門襲名発表と共に、自身も十代目中村福助を襲名することが公表されました。しかし、父君が病を得られたため、現在その襲名は保留されています。この状況下でも、児太郎は舞台活動を精力的に続けています。

舞台での活躍は多岐にわたり、国立劇場においてはその演技が高く評価され、国立劇場奨励賞を複数回受賞しています。主な受賞対象となった役には、2012年（平成24年）6月の『平家女護島 俊寛』における海女千鳥、2013年（平成25年）3月の『隅田川花御所染 女清玄』での桜姫、2015年（平成27年）3月の『梅雨小袖昔八丈 髪結新三』の白子屋娘お熊、そして2016年（平成28年）12月の『仮名手本忠臣蔵 八段目・九段目』での娘小浪などがあります。これらの受賞は、若手女方としての確かな実力を示すものです。

近年もその勢いは止まらず、2024年（令和6年）2月には第45回松尾芸能賞新人賞を受賞しました。この受賞は、『神霊矢口渡』での娘お舟や、『助六由縁江戸桜』での三浦屋揚巻といった難役への初役に挑み、高い評価を得たことが理由とされています。

歌舞伎以外の活動にも積極的です。2018年にはNHK大河ドラマ『西郷どん』に孝明天皇役で出演し、テレビドラマへの初出演を果たしました。また、『ボクらの時代』といった番組にも出演しています。

人物としては、多趣味な一面を持ち、野球、サッカー、ラグビーを好んでいます。中学・高校時代にはラグビー部に所属していた経験があり、そのラグビーへの情熱は、自身のYouTubeチャンネルで語られたり、サンケイスポーツ紙上で2022年11月から連載されている「ラグビー魂 中村児太郎」というコラムにも表れています。また、所属事務所の取締役を務めるなど、役者以外の分野でも才能を発揮しています。

主な親族としては、以下のような歌舞伎界の要人が挙げられます。

父：九代目 中村 福助
祖父：七代目 中村 芝翫
曽祖父：五代目 中村 福助
高祖父：五世 中村 歌右衛門
叔父：八代目 中村 芝翫
従弟（叔父・芝翫の子）：四代目 中村 橋之助、三代目 中村 福之助、四代目 中村 歌之助
伯父（父の姉の夫）：十八代目 中村 勘三郎
従兄（伯父・勘三郎の子）：六代目 中村 勘九郎、二代目 中村 七之助

成駒屋の伝統を受け継ぎながら、多方面で活躍の場を広げる六代目中村児太郎。将来の十代目中村福助襲名への期待が集まる中、その歩みは歌舞伎界の未来を担う存在として注目されています。

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