中村六三郎

中村六三郎

中村六三郎（なかむら ろくさぶろう、天保12年（1841年） - 明治40年（1907年））は、幕末から明治にかけて活躍した教育者であり、三菱商船学校（後の官立東京商船学校）の初代校長を務めました。また、日本海員掖済会の創立にも深く関与しました。

生涯

長崎西浜町の呉服商、藤井太兵衛の次男として生まれました。異母兄の子として中村家に引き取られ、13歳から新たな生活を始めます。15歳で高島浅五郎と久松土岐太郎に師事し、オランダ砲術を学びました。その後、長崎奉行所の命により蘭人教師から砲銃の技術を習得。山本晴海に漢籍と武術を学び、高島流砲術家の中島名左衛門に従って長門国（現在の山口県）へ赴き、同国の藩士に砲術と火工の技術を指導しました。

帰郷後、英語を学び、再び奉行所の命で英国軍艦にて海軍用兵を修行。久松忠論の塾頭として、薩摩、土佐、肥前など諸藩の藩士に英式砲術を教えました。長崎周辺の農兵で編成された砲隊の指揮を執り、この部隊は後に振遠隊と名付けられました。

幕府瓦解後、明治元年（1868年）に部下を官軍に引き渡し、勝海舟を頼って江戸へ。徳川慶喜に従い駿府へ移住した後、東京へ上り、赤松則良の塾で算数と測量を学びました。大学中得業生を経て、広島師範学校校長に就任。前島密の推薦により、三菱商船学校の主幹となり、その後、官立東京商船学校長に任じられました。大阪・函館商船学校の両分校長を兼任した時期もありました。

明治27年（1894年）に東京商船学校長を辞任。その後は、日本海員掖済会の創立に尽力しました。明治40年（1907年）、脳溢血のため67歳で亡くなりました。

人物

中村六三郎は、砲術家、教育者として多岐にわたる才能を発揮し、日本の近代化に大きく貢献しました。特に、商船学校の設立と海員の育成に力を注ぎ、日本の海運業の発展に寄与しました。また、長崎における英語教育の先駆者としても知られています。

家族・系譜

中村氏は大村丹後守の家系で、肥前国（現在の長崎県）大村の出身です。妻みやは平野富二の母方の従姉妹にあたります。

墓所・記念碑

墓所は沼津蓮光寺にあります。長崎市内の諏訪公園には顕彰碑が建てられており、前島密が撰文を手がけました。除幕式は明治42年（1909年）に行われました。

著書

* 小学幾何用法（明治九年訳本）上中・下・付録

その他

平成23年（2011年）、「長崎ウーマンズウォークラリー」に中村六三郎が登場しました。

もう一度検索