中村勘三郎 (18代目)

十八代目 中村勘三郎について

十八代目中村勘三郎（なかむら かんざぶろう）は1955年5月30日に東京都で誕生しました。本名は波野哲明（なみの のりあき）であり、その名は歌舞伎界において多くの名声を築くこととなります。彼の屋号は中村屋であり、定紋は角切銀杏、替紋は丸に舞鶴です。舞踊名としては藤間勘暢や猿若勘三郎も使用していました。

歌舞伎役者としては、江戸の世話物から上方狂言、時代物、新歌舞伎まで、多岐にわたるジャンルの舞台で活躍しました。特に、コクーン歌舞伎や平成中村座を創設し、現代の劇作家や演出家と共同で古典歌舞伎の新解釈版や新作歌舞伎を上演するなど、常に革新を追求しました。海外公演や地方巡業も積極的に行い、彼の演劇活動は多岐にわたりました。

また、現代劇にも多く出演し、特に『浅草パラダイス』では長姉・波乃久里子、藤山直美、柄本明と共演し、長期にわたる人気を博しました。彼は自身の家族との絆も深く、父は十七代目中村勘三郎、長男は六代目中村勘九郎、次男は二代目中村七之助など、歌舞伎の家系に育ちました。

演劇活動と交流

勘三郎は、自らの公演に同世代の歌舞伎役者を多く起用し、特に十代目坂東三津五郎、坂東彌十郎との交流がありました。彼らとの信頼関係は厚く、自作の舞台では脇役として起用されることもしばしばでした。また、彼の演技スタイルは独特で、歌舞伎の伝統を重視しつつ、現代的な解釈を加えるという新しいアプローチを取り入れていました。

残念ながら、2012年に食道癌が発覚し、その影響で体調を崩しました。12月5日に急性呼吸窮迫症候群により亡くなるまで、彼はその病気と闘い続けました。彼の死は歌舞伎界のみならず、さまざまな分野の人々から「大きな損失」として惜しまれました。

勘三郎の年譜

彼の生涯を振り返ると、1959年に初舞台を踏み、1977年にはウエストサイドストーリーなどのミュージカルにも出演しました。1980年には結婚、1990年からは歌舞伎座での定例公演を開始しました。1994年にはシアターコクーンでコクーン歌舞伎の初上演を果たし、2001年には野田秀樹脚本・演出による新作歌舞伎を大評判となりました。

2004年にはニューヨークでの公演も成功させ、国内外で多くの観客に驚きと感動を与えました。彼の舞台は常に挑戦に満ち、彼自身が表現したいことへの貪欲な姿勢が感じられました。

受賞歴と個人生活

勘三郎は、数々の賞を受賞し、芸術界における功績が評価されました。日本芸術院賞や紫綬褒章、そして旭日中綬章など、数多くの受賞歴を持ちます。
また、彼の私生活にも人々の関心が集まり、その多彩な交流関係は特に注目されました。彼は数々の有名人と親交があり、彼らとの芸術的なコラボレーションも行われました。

彼の軽妙な話術や人間的魅力は、共演者からも愛され、後輩たちにも慕われる存在でした。

最後の舞台と追悼

亡くなる直前には、自身の長男の襲名披露舞台にも関わっており、最後となる舞台出演が記憶に残っています。彼が演じた役柄や舞台は、多くの人々の心に残り、未来の歌舞伎役者たちへと受け継がれていくことでしょう。彼の貢献は全ての人にとっての記憶となり、歌舞伎界における彼の存在の大きさを再認識させられます。

彼の死後、名誉市民の称号が授与されるなど、その偉業と貢献は多くの人々に感謝され続けているのです。

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