中村栄孝

中村 栄孝とは

中村栄孝（なかむら ひでたか、1902年5月1日－1984年1月4日）は、大正から昭和にかけて活躍した日本の歴史学者で、特に朝鮮半島に関する歴史研究で知られています。彼は名古屋大学と天理大学の教授を経験し、学問への貢献は多大です。

経歴

中村は千葉県の山武郡増穂村（現在の大網白里市）に生まれました。初等教育を経て、東京府立第一中学校と東京第一高等学校を卒業後、1923年に東京帝国大学に入学しました。在学中には黒板勝美教授の指導を受け、1926年に文学部国史学科を卒業しました。その後、朝鮮総督府での歴史編纂に関与することになります。

1927年から1937年にかけて修史官として活動し、その後の1937年には編修官、1945年には教学官と幹事を兼任するなど、様々な役職を歴任しました。終戦を迎えた同年に日本に帰国し、朝鮮総督府の公式な廃止に伴って退官しました。

日本に戻った中村は1948年から名古屋大学、1966年からは天理大学の教授として教育と研究に専念しました。1977年に天理大学を退職した後は、故郷で静かに余生を過ごしました。享年は83歳です。

業績

中村栄孝の業績は、特に朝鮮史に関する研究で際立っています。朝鮮総督府で働いていた際には、『朝鮮史』や『朝鮮史料叢刊』の編集に深く関わりました。また、歴史学者の田保橋潔や末松保和と共に青丘学会を結成し、共同で活動を行いました。

1948年以降、日本に帰国した中村は1966年から始まった『日鮮関係史の研究』（全3巻）を発表し、この作品は日本学士院賞と恩賜賞を受賞しました。この研究は、戦後の日本における朝鮮半島史の研究において特に重要な位置を占めており、彼がその第一人者であることを物語っています。

名古屋大学に在職中は、織豊政権や濃尾平野の河川に関する研究にも取り組み、幅広い知識と業績を残しました。

主な著作

中村栄孝の著作には多くの重要な作品があり、特に以下のものが知られています：

• - 『東亜新秩序の建設と古代大陸経営の先蹤』 1940（朝鮮総督府発行）
• - 『日鮮関係史の研究』 全3巻 1965-1969（吉川弘文館）
• - 『日本と朝鮮』 1966（至文堂 日本歴史新書）
• - 『清洲城と名古屋城 織田・豊臣から徳川へ』 1971（吉川弘文館）
• - 『朝鮮 風土・民族・伝統』 1971（吉川弘文館）
• - 『東海風土記』 1971（吉川弘文館）
• - 『郷土史物語 第23 愛知の歴史』編 1962（世界書院）

中村栄孝の研究と著作は、歴史学における貴重な資料となり、後世の研究者に多大な影響を与えています。彼の業績を通じて、朝鮮半島の歴史をより深く理解するための道が開かれました。

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