中村正辰

中村正辰：赤穂浪士四十七士の生き様

中村正辰（なかむら まさとき、1659年-1703年）は、江戸時代前期に活躍した武士であり、赤穂浪士四十七士の一人として知られています。通称は勘助、変名は山彦嘉兵衛。越後村上藩士の子として生まれ、のちに播磨赤穂藩浅野家家臣・中村庄助の娘婿となりました。

前半生と赤穂藩での生活

正辰は、1659年、越後村上藩士の家に生まれました。その後、赤穂藩に仕え、祐筆兼馬廻役として100石を領しました。1689年には長男忠三郎を、1699年には次男中村勘次を授かりました。1694年には備中松山城受取の軍に従軍し、一年半にわたり松山に在番した経験も持ちます。1695年には養父・庄助が亡くなっています。

浅野長矩殿中刃傷事件とその後

1701年3月14日、主君浅野長矩が吉良義央に殿中刃傷に及んだ際、正辰は赤穂にいました。赤穂城開城後も、大石良雄のもとで藩政残務処理に携わり、江戸幕府から7人扶持を支給されていました。同年9月下旬には、大石良雄の命を受け、江戸急進派の鎮撫のため、原元辰、潮田高教、大高忠雄らと共に江戸へ下向します。しかし、逆に急進派に巻き込まれる形となり、大石良雄の江戸下向後、京都へ戻りました。同年12月9日には潮田高教と共に血判書を提出し、翌1702年5月には家族を陸奥白河藩の親戚に預けました。同年10月21日には、江戸下向中の大石良雄と鎌倉で合流しています。

吉良邸討ち入りと最期

吉良邸討ち入りでは、裏門隊に所属。主に11名で屋敷から逃げる吉良家臣と戦いました。武林隆重が吉良義央を討ち取った後、正辰は他の浪士らと共に自首。伊予松山藩主・松平定直の屋敷に預けられました。松山藩では義士を罪人として扱い、厳しい対応を取った記録が残っています。処分の決定前にも関わらず、全員の切腹における介錯人が既に決められていたという記録も残されています。

正辰は1703年2月4日、松平家家臣大島半平の介錯によって切腹しました。享年45。主君浅野長矩と同じ高輪泉岳寺に葬られ、法名は刃露白剣信士です。

遺族のその後

正辰の家族は、白河に預けられていました。長男忠三郎は連座して伊豆国大島へ流罪となりましたが、1706年の大赦令により赦免され、浅草曹源寺で出家して僧となりました。しかし、3年後に亡くなったと伝えられています。次男勘次も曹源寺で出家し、僧となりました。長女は夫・大野瀬兵衛と討ち入りを巡って対立し、事件前に絶縁。次女もまた絶縁し、姫路に住んでいたとされています。

まとめ

中村正辰は、赤穂浪士四十七士の一人として、主君への忠義を貫き、自らの命と引き換えに義を全うしました。その生涯と、遺族の苦難と赦免、そして彼らが辿った道は、忠義と正義、そして時代の残酷さを改めて考えさせる物語として、後世に語り継がれています。彼の行動とその後の人生は、歴史の大きな流れの中で、今もなお人々の心に深く刻まれています。

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