中村経長

中村経長の生涯

中村経長（なかむら つねなが）は、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけて活躍した武将であり、中村城の城主でした。彼は中村朝定の5代孫で、中村太郎または左衛門尉とも呼ばれました。経長の生涯は、彼の祖先が管理していた中村城と、その周辺の歴史と深く結びついています。

中先代の乱と鎌倉幕府

経長は、父中村朝定が鎌倉幕府によって鎌倉に館を持っていったため、何世代にもわたって中村城は城主不在の状態が続きました。この状態に変化をもたらしたのが、伊勢神宮領の小栗重貞です。彼は鎌倉幕府から中村荘の地頭に任命され、その管理を始めました。しかし経長の運命は、幕府の滅亡によって大きく変わります。

経長は建武の新政に仕官し、足利尊氏に与しました。建武2年（1335年）7月、中先代の乱が発生すると、彼は尊氏の軍と共に相模川の戦いで北条時行の軍を打ち破り、その功によって本来の領地である中村荘を取り戻します。この戦いの成果により、中村氏は再び城主としての地位を得ました。

南北朝時代の戦い

しかし、経長の生涯は平穏無事ではありませんでした。延元元年/建武3年（1336年）、足利尊氏が豊島河原の戦いで敗北し、九州へと逃れます。この尊氏の失脚は、経長にとっても厳しい状況をもたらしました。父や同族の伊佐氏が南朝側に転向する中、経長は伊達行朝の介助により南朝方に加わります。

延元2年/建武4年（1337年）、経長は伊達行朝軍と共に小山城を攻撃し、その攻略に成功しました。その後も、利根川の戦いや杉本城の戦いで足利方を撃破し、南朝側での功績を重ねました。これらの戦闘を通じて、経長は武名を高めていきました。

延元3年/暦応元年（1338年）には、北畠顕信が北畠親房と共に皇族を供奉する任についています。この際、経長も彼らに随行していましたが、暴風に遭遇し枝分かれした兵船の中で親房と共に漂流しました。親房が神宮寺城に籠もる一方、経長は中村城に帰還します。

その後も経長は北朝軍との戦いを繰り広げ、特に関城・大宝城の攻防において重要な役割を果たしました。しかし、次第に局勢は厳しくなり、親房が敵と内部から崩される中、経長は最終的に孤立してしまいます。

最後の日々と遺産

興国元年/暦応3年（1340年）、経長は伊佐城の守りに入りましたが、その後の戦いでは孤立した状況が続きました。最終的には、彼が中村城に戻ることとなり、その後も宇都宮氏の臣として従事します。経長と彼の子孫は、その後の戦国時代においても中村氏の存在を確立し、長い間中村城に居住することになります。

経長の生涯は、彼自身の戦いだけでなく、時代の変遷を体現したものでもありました。彼の行動は、中村城の歴史と深く結びつき、現在に至るまで語り継がれています。

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