北畠顕信

北畠顕信（きたばたけ あきのぶ）

北畠顕信は、南北朝時代の公卿で、北畠親房の次男として生まれました。兄に北畠顕家がいます。左近衛少将に任ぜられ、春日少将とも呼ばれました。また、土御門入道とも号しました。

南朝において従一位・右大臣に任ぜられたともされていますが、確証はありません。

生涯

1336年、伊勢国で挙兵し、後醍醐天皇の遷幸を援助しました。その後、伊勢国司に任官しています。

『太平記』には、兄・顕家に随伴して上洛し、美濃青野原や山城男山で北朝軍と戦ったと記述されていますが、これは春日顕国の事跡との混同であるとされています。

1338年、兄の死後、鎮守府将軍に任命され、後醍醐天皇皇子の義良親王、宗良親王に供奉して父親房と共に陸奥国へ向かおうとしましたが、途中で暴風に遭い、吉野に戻ることになりました。

翌年、再び陸奥へ向かい、国府多賀城の攻略を試みます。一時的に多賀城を占領しますが、北朝方の反撃を受け失敗しました。その後、霊山城を拠点に周辺の豪族をまとめ活動を続けました。

1347年、霊山城が落城し、顕信は滴石城（岩手県雫石町）に退いた後、出羽国へ退却しました。

1351年、観応の擾乱の影響で奥州管領同士の争いが起こると、南朝側は勢いを盛り返し、羽州国府寺や阿谷の合戦などで吉良軍を次々と破り、11月には広瀬川の戦いで北朝軍を総崩れにさせました。この結果、多賀城奪還に成功しましたが、翌年、吉良貞家によって多賀城を追われてしまいます。

顕信と守永親王は宇津峰城（福島県）に移りますが、吉良貞家の攻撃によって1353年に落城し、出羽国へ逃れたとされています。

1358年、足利尊氏が没すると南朝の活動が全国的に活発になりますが、顕信は同年8月に鳥海山大物忌神社に南朝復興と出羽国静謐を祈願した寄進書を納めています。このことから、この時期には出羽にいたと考えられます。

これ以後の顕信の消息は明らかではありませんが、後世に残された発給文書から、1362年頃までは陸奥で活動を続けていたと推定されています。

その後の足跡については、吉野に帰還して右大臣を務めたとも、九州に下向し懐良親王を補佐したとも言われています。また、津軽に落ち延びて浪岡氏の祖となったという説もあります。

逸話

北畠顕信の末葉とも、兄北畠顕家の子孫ともされる北畠天童丸は、天童城を拠点に南朝側として勢力を誇りましたが、斯波兼頼の圧力により1372年から1374年の間に天童城を捨て津軽浪岡方面へ去ったと伝えられています。

系譜

父：北畠親房 - 准三宮
母：春日局
妻：不詳
男子：北畠信親 - 『桜雲記』では筑後川の戦いで討死した「北畠源中納言」とされています。
男子：北畠守親 - 陸奥国司
男子：北畠親統

脚注

横山昭男・誉田慶信・伊藤清郎・渡辺信　『山形県の歴史』第2版、2011
武家家伝_天童氏
* 武家家伝_浪岡北畠氏

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