中村翫右衛門 (3代目)

三代目 中村翫右衛門について

三代目中村翫右衛門（本名：三井金次郎）は、1901年に誕生し、1982年に没した日本の歌舞伎役者です。彼は歌舞伎界に革命をもたらした中心的な存在であり、前進座の創立者の一人としても知られています。彼の父は二代目中村翫右衛門で、兄は三代目中村仲助、さらに息子の四代目中村梅之助も名を馳せています。

幼少期と初舞台

翫右衛門は、1906年に東京浅草の小芝居小屋「柳盛座」で初舞台を踏みました。その頃から彼の才能は光り、特に父と共に五代目中村歌右衛門の門下に入ると、役者としての道を突き進むことになります。1920年には名題昇進を果たし、三代目中村翫右衛門を襲名しました。

前進座の結成と新しい演劇への挑戦

1920年代後半、翫右衛門は歌舞伎の伝統にとらわれず、新しい演劇について考えるようになりました。彼は仲間たちと共に俳優機関誌『劇戦』を創刊し、歌舞伎界の旧態依然とした体制に反発しました。その過程で、彼は二代目市川猿之助の「春秋座」に参加し、1931年には前進座を結成します。

戦後の活動と問題

戦後、翫右衛門は日本共産党に入党しましたが、当時のマッカーサー指令によるレッド・パージの影響を受け、興行が次第に弾圧されていく状況に直面しました。1952年には北海道公演の際に発生した赤平事件で逮捕状が出る事態に至り、彼は中国への亡命を余儀なくされました。その後、1955年に帰国し、再び前進座のリーダーとして活躍します。

舞台と映画での業績

翫右衛門は、台詞回しの巧妙さとシャープな演技スタイルで多くの名作に出演しました。『傾城反魂香』『平家女護島』『勧進帳』など、多彩な役柄を演じる一方で、映画界でも活躍しました。彼の出演作には、山中貞雄監督の『河内山宗俊』や『人情紙風船』があり、本名の「三井さん」としても知られています。

特に印象的なのは、1936年の映画『河内山宗俊』でのキャラクター設定が彼自身のアイデアから生まれた点です。また、稲垣浩監督の『股旅千一夜』での乗馬シーンでは、翫右衛門が自らスタントを演じた伝説的なエピソードも残っています。

最晩年と評価

長いキャリアの末、翫右衛門は多くの後進に影響を与えつつ1982年に亡くなりました。その業績は高く評価され、歌舞伎界だけでなく日本の演劇全般においても大きな足跡を残しています。彼の演技に対する情熱と革新への挑戦は、今なお多くの役者たちに受け継がれるものです。

結語

歌舞伎界の革新者としての三代目中村翫右衛門の人生や業績は、単なる役者の域を超え、演劇界全体における重要な歴史の一部となっています。彼が残した足跡は、これからも多くの人々に影響を与え続けることでしょう。

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