中村謙一 (鉄道官僚)

中村謙一

中村謙一（なかむら けんいち、1882年2月17日 - 1943年2月26日）は、日本の官僚、華族であり、鉄道技術者として日本の鉄道発展に貢献しました。男爵の爵位を持ち、鉄道省建設局長、鉄道会議議員、鉄道工事統制協会長、土木学会長など、数々の要職を歴任しました。また、貴族院議員としても活動しました。

生い立ちと学歴

1882年、陸軍大将で男爵であった中村覚の長男として生まれました。東京府立第一中学校、第一高等学校を経て、1905年に東京帝国大学を卒業。高い学歴を背景に、技術者としてのキャリアをスタートさせました。

鉄道技術者としての活躍

1908年、鉄道院技師となり、鉄道技術者としての道を歩み始めます。1913年には欧米へ留学し、最新の鉄道技術を学びました。帰国後は、鉄道省でその才能を発揮し、1923年に建設局計画課長、1926年には建設局長に就任。鉄道網の整備と発展に大きく貢献しました。また、鉄道工事統制協会長として、業界の発展にも尽力しました。

その他の活動

鉄道関係の仕事以外にも、土木学会長として土木工学の発展に寄与したほか、災害予防調査会委員や発電調査会委員などの要職を歴任しました。1929年には貴族院議員に選出され、政治の舞台でも活躍しました。これらの活動を通して、中村謙一は技術者としての専門知識を社会に還元し、日本の発展に貢献しました。

親族

中村謙一の親族には、陸軍大佐の中村謙二、実業家の森村謙三、大阪海上火災保険社長の多羅尾謙四郎、海軍中将の小林謙五など、各界で活躍した人物がいます。また、妹が子爵や伯爵と結婚するなど、華やかな家系を築きました。妻の玉枝は外交官の宮岡恒次郎の長女であり、その家族もまた、社会的に影響力のある人々でした。長男の徹雄は貴族院男爵議員、次男の達雄は農林省に勤務しました。長女の豊子は国鉄技師の島秀雄と、二女の多摩子は蘆原英了と結婚しました。

著書

技術者としての知識や経験を活かし、『近世橋梁学』などの著書も残しています。これらの著書は、当時の土木工学や橋梁技術を研究する上で重要な資料となっています。

『近世橋梁学』上巻、工業雑誌社、1911年。
『近世橋梁学』中巻、工業雑誌社、1927年。
『亡父を偲ぶ』非売品、1927年。

晩年

1943年、61歳で亡くなりました。墓所は多磨霊園にあります。中村謙一の功績は、日本の鉄道史や土木史に深く刻まれています。

参考資料

憲政資料編纂会編『歴代閣僚と国会議員名鑑』ライフ、1978年。

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