中津川代官所

中津川代官所の歴史と役割

中津川代官所（なかつがわだいかんしょ）は、江戸時代中期において、美濃国恵那郡に設置された行政機関で、尾張藩の重臣である山村甚兵衛家によって管理されていました。代官所は、特に中山道沿いの中津川宿（現在の岐阜県中津川市本町）に位置しており、地域の統治や年貢の管理を担っていました。

山村甚兵衛家の成立

山村甚兵衛家の起源は、慶長5年（1600年）に遡ります。この年、徳川家康が木曾義利を改易し、その土地を没収したため、木曾氏は領地を失いました。しかし、家康はその後、下野国から山村甚兵衛良勝らを呼び寄せ、彼らに木曾の旧領地を与えることを決定しました。この経緯から、山村家は木曾の代官として活動を開始しました。

良勝と彼の兄弟たちは、少数の兵で東軍に加わり、木曾の奪還に成功。彼らはその後、尾張藩の重臣として、恵那郡や土岐郡、可児郡など広範囲にわたる土地を統治することとなります。

代官所の設置と機能

中津川代官所は、初めて設置された際には、土着の有力者が代官を務めていましたが、寛文2年（1662年）からは木曾福島の木曾代官所の支配機関としての役割を果たすようになります。代官所の主たる任務は、知行所の年貢を徴収し、地域の秩序を保つことでした。

代官所には、年貢の徴収、宗門改め、川除けの見分、秋の検見役など、実務的な業務が多く存在しました。下役の者たちが村々を巡回し、年貢米の管理や請願書の処理を行い、その結果を代官所に報告しました。また、重要な事項や異常事態については、木曽福島の上位機関へ報告し、指示を受けていました。

知行の拡張と管理

享保10年（1725年）以降、代官所は恵那郡における山村甚兵衛家の広範な知行所を管理下に置くようになり、その活動が活発化しました。この時期、中津川代官所は490石を超える多くの村から年貢を徴収し、地域の経済や社会秩序の維持に努めていました。

代官の権限の強化に伴って、彼らは村の代官や庄屋との協力のもと、村ごとの行政を行いました。特に、村代官は各村の管理を行い、地元の民と密接に連絡を取り合っていたのです。

代官の収入と役割

初期の頃、中津川代官所の代官は無給でしたが、正徳元年（1711年）から役料が支給されるようになり、以降は田畑の収穫や家賃が代官の収入の基盤となりました。代官たちは、村々との密接な関係を築き、効率的に役立つように配慮していました。

中津川代官所の遺構

中津川代官所は、設置当初は中津川市北野に位置していましたが、後に西宮町の地域に移転しました。その頃の代官所の建物は、明治時代まで残っていましたが、今ではその面影は消えています。現存する稲荷社は、かつて代官屋敷に祀られていたものであり、地域の歴史を語る貴重な証拠です。

結論

中津川代官所は、地域統治の中心的な役割を果たし、山村甚兵衛家の影響力を象徴する存在でした。その機能と活動は、江戸時代を通じて地域の発展に寄与し、後の明治維新を迎えるまで、その歴史を刻んでいったのです。

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