中溝昌弘

中溝昌弘

中溝昌弘（なかみぞ まさひろ）は、天保12年1月16日（1841年2月7日）に生まれ、昭和2年（1927年）に亡くなった、日本の地方政治家、自由民権運動家です。地主であり、三多摩壮士の一人としても知られています。

生い立ちと青年期

中溝昌弘は、幕府御典医であった白鳥昌領の次男として、武蔵国多摩郡上布田駅（現在の東京都調布市）に生まれました。幼少期から学問に励み、嘉永5年（1852年）には幕臣の松平次郎太の門下生となりました。翌年には昌平坂学問所の素読吟味試験に合格するなど、その学識の高さを示しました。

慶応2年（1866年）には、中溝ブンと結婚し、中溝家の婿養子となりました。この頃、自宅で漢学塾を開き、後進の育成にも力を注ぎました。

政治活動

明治維新後、中溝昌弘は政治の世界に身を投じます。明治11年（1878年）に結成された「責善会」では、石坂昌孝らとともに活動しました。同年11月には都筑郡長に、明治14年（1881年）6月には南多摩郡長に就任し、地方行政に携わりました。

その後、明治18年（1885年）には南多摩郡選出の神奈川県会議員となり、地方自治の発展に尽力しました。県会議員としては、明治19年（1886年）8月から明治20年（1887年）11月まで第9代副議長を、明治20年（1887年）11月から明治21年（1888年）3月まで第11代議長を務めました。明治21年（1888年）1月の議会解散で一旦退任しましたが、翌月の選挙で再選を果たしました。しかし、明治22年（1889年）12月には議員を辞職し、政界から引退しました。

自由民権運動

中溝昌弘は、自由民権運動にも積極的に参加しました。三多摩壮士の一人として、自由民権思想の普及に努めました。その思想は、地方自治の確立と民衆の権利擁護を目指すものでした。

親族

中溝昌弘の親族には、以下のような人物がいます。

父：白鳥昌領（幕府御典医）
義父：中溝六左衛門
長男：青木昌吉（青木正太郎の養子）
二男：中溝録助（生糸業）
三男：中溝多摩吉（政党本部推参事件の首謀者、実業家、政治活動家）
四男：富永置三（稲城村長）
五男：中溝五郎（鶴川村長）

また、五男の中溝五郎は、後に東京都知事を務めた鈴木俊一の祖父にあたります。

晩年

政界引退後は、静かに余生を過ごし、昭和2年（1927年）に86歳でその生涯を閉じました。

関連文献

『民権ブックス6 石阪昌孝とその同士たち』（町田市、1993年）

中溝昌弘は、地方政治家、自由民権運動家として、明治期の日本社会に大きな足跡を残しました。

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