中田一次

中田一次（なかだ かずつぐ）は、1921年1月5日に生まれ、2001年4月9日に生涯を閉じた、日本の作曲家、指揮者、そしてファゴット奏者です。彼の音楽活動は多岐にわたり、特に童謡や宗教曲（キリスト教）の作曲でその名を知られています。また、「楫山つとむ」という筆名も使用していました。

東京都渋谷区出身の中田は、東京音楽学校（現在の東京藝術大学音楽学部）を卒業後、山形大学音楽科教授、昭和音楽大学短期大学部名誉教授を歴任しました。教育者としての側面も持ち合わせており、作曲家の湯浅譲二は、ほとんど独学で音楽を学んだにもかかわらず、中田が唯一の師であったと述べています。また、演奏家としては、日本フィルハーモニー交響楽団や東京管楽器協会などでファゴットとコントラファゴットを演奏し、晩年には日本ファゴット（バスーン）協会の会長を務めました。

中田はバッハをはじめとする古典作品をダブルリード合奏のために編曲することも多く、その編曲作品は今日でも演奏されています。また、NHKラジオの長寿番組「音楽の泉」のテーマ曲として、シューベルトの「楽興の時」が使用されていた時期があり、この編曲を手掛けたのも中田でした（後にテーマ曲はピアノ独奏版に変更）。この経緯については、大塚修造著「ただいま放送中」（音楽之友社ON Books）に詳細が記されています。

音楽一家に生まれた中田は、父に「早春賦」の作曲者である中田章、弟に作曲家の中田喜直を持ちます。中田一次の作品は、童謡から宗教曲まで幅広いジャンルに及び、その作品は多くの人々に愛されています。

主な作品としては、以下のものがあります。

おこりっこなしよ
キリン
ちらちらこゆき
とんぼの思い出（第24回日本童謡賞受賞）

中田一次は、その多岐にわたる音楽活動と教育者としての貢献を通して、日本の音楽界に大きな足跡を残しました。彼の作品は、今もなお多くの人々に演奏され、その音楽的な遺産は次世代に受け継がれています。

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