早春賦

早春賦（そうしゅんふ）

「早春賦」は、1913年に発表された日本の唱歌で、作詞は吉丸一昌、作曲は中田章によるものです。この作品は、春の訪れをテーマにした内容で、特に長野県大町市と安曇野地域の早春の情景を美しく描写しています。この楽曲は、2006年から2007年にかけて文化庁と日本PTA全国協議会によって選ばれた「日本の歌百選」にも名を連ねています。

概要

「早春賦」は、吉丸一昌が『尋常小学唱歌』の作詞委員会の代表として、彼自身の作成した75編の詩に新若い作曲家の曲をつけて発表した「新作唱歌」全10集の一部として収録されています。この歌は、この集の第3集に含まれています。詞の背景には、吉丸が長野県の旧制長野県立大町中学（現在の長野県大町高等学校）の校歌を制作するために訪れた際に受けた印象があります。この地域の厳しい寒さと、待ち望んだ春の暖かさを歌い上げており、自然の美しさや四季の移り変わりを感じさせる作品でもあります。

また、大町実科高等女学校（現在の長野県大町北高等学校の前身）でも、この歌は愛唱歌として親しまれていたことが知られています。地域の文化的な象徴として、大町文化会館や穂高川河川敷には歌碑も設置されており、多くの人々に親しまれ続けています。題名の「賦」という言葉は、漢詩を歌うことや作ることを指し、「早春に賦す」が本来の意味となっています。

歌詞について

「早春賦」の歌詞は、日本の美しい春の情景を生き生きと表現しており、聴く者に季節の移ろいや自然の美しさを感じさせてくれます。特に、早春の花々や新しい生命の息吹が描かれており、清らかで穏やかな情景が浮かぶようです。

みんなのうた

1979年2月には、三枝成彰による編曲版の「早春賦」がNHKの『みんなのうた』で放送されました。この番組では、同年に他にも「夏は来ぬ」、「紅葉」、「花いちもんめ」といった楽曲が再アレンジされて放送されました。この放送に使用されたアニメーションは、アーティストの林静一が手掛けており、視覚的にも楽しませてくれる内容となっています。三枝の編曲による「早春賦」は、本放送終了後も1980年2月と1982年2月に再放送が行われ、多くの子供たちに親しまれました。

外部リンク

「早春賦」の楽譜は、国際楽譜ライブラリープロジェクトで公開されており、興味のある方はそちらもぜひご覧ください。

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