中田修

中田 修（なかた おさむ）について

中田修は、日本の著名な医学者で精神科医であり、特に犯罪精神医学の分野で評価されています。彼は1922年7月8日に兵庫県津名郡野島村（現在の淡路市野島）で生まれ、後に東京医科歯科大学の名誉教授として広く知られています。彼の兄は農学者である中田正一です。

学歴と経歴

中田は1945年に東京帝国大学医学部を卒業後、東京大学医学部精神科で副手として働きました。その後、東京拘置所医務部技官、東京都立松沢病院の医員、そして東京都立梅ヶ丘病院の医長などを経て、1959年には東京医科歯科大学犯罪精神医学研究室の助教授に就任します。その後、1965年には同大学の犯罪精神医学教室の教授に昇進し、1988年には定年退官と同時に名誉教授に任じられました。

主な研究業績

中田の研究活動は多岐にわたりますが、特に「飲酒試験における酩酊型の研究」が注目されます。彼は飲酒事故を取り扱う際に、実際にどれほどの酒量があったのかを再現することを重要視し、これが裁判での証拠に用いられることが多いとされています。
彼の研究は、飲酒試験におけるアルコールの種類や酒量、酩酊型による再現性の違い、そして飲酒による健忘の問題を整理しました。特に、単純酩酊や複雑酩酊においては再現性が高い一方で、病的酩酊では再現性が低いことを示しました。この発見は、犯罪精神医学における客観的な評価手法の発展に寄与しました。

精神鑑定の豊富な経験

中田は、特に有名な事件の精神鑑定に深く関与してきました。大久保清連続殺人事件や横須賀線電車爆破事件に関与した被告の精神状態を評価し、彼自身の著書『精神鑑定と供述心理』では365件以上のケースに携わったことを記しています。中でも、彼は「間接自殺」という概念を日本で初めて鑑定した医師でもあります。間接自殺は、犯罪者が自らの死を求めた上で重大な犯罪を犯すことを指し、この概念はカルロ・ロンブローゾに由来するものです。

被害者学の先駆者

また、中田は日本における被害者学の先駆者とも言えます。1958年に発表した論文『メンデルソーンの被害者学』を通じて、この新しい学問分野を日本に紹介しましたが、彼自身はこの概念を研究を促進した吉益脩夫教授からの影響を受けたことを認めています。

まとめ

中田修の業績は日本の犯罪精神医学における重要な足跡を残しています。彼の研究や鑑定は今もなお、多くの医療や司法領域に影響を与え続けています。特に飲酒試験や精神鑑定に関する彼の知見は、実践的な価値が高く、現代における精神医学の実務にも適用されています。

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