宋金戦争

宋金戦争（そうきんせんそう）

宋金戦争は、12世紀初頭から13世紀前半にかけて、中国の宋朝と金朝の間で繰り広げられた一連の戦争です。漢民族の王朝である宋と、女真族が建国した金との間で、華北の支配権を巡る激しい攻防が繰り広げられました。

戦争の背景

1115年、女真族は遼朝からの独立を宣言し、金朝を建国しました。金は、遼に対抗するため、当時遼に多額の歳幣を送っていた宋と海上の盟約を結びました。金は、938年以来遼に奪われていた燕雲十六州を宋に返還することを約束しました。

宋金両国は対遼戦争を共に戦うことになりましたが、金が快進撃で遼を滅ぼしたのに対し、宋は方臘の乱の影響で兵力を大きく割かれ、燕京攻略を金に依頼しました。金は燕京を攻略した後、住民や財産などを全て持ち去って返還しました。宋はその後、金に対して約束した歳幣を送らず、遼の残党と友好関係を結び、金の謀反人を受け入れるなどしたため、金は宋への攻撃を決意しました。

戦争の経過

1125年、金は太原と開封に侵攻し、宋金戦争が勃発しました。金の侵略に対し、徽宗は退位し、欽宗が即位しました。1127年には靖康の変が発生し、金軍は開封を包囲し、欽宗や趙氏一族、高官らを拉致しました。宋室の一部は南へ逃れ、臨安（現在の杭州市）に遷都し、南宋を建国しました。これにより、中国は華北を支配する金と、華中・華南を支配する南宋の2国に分裂しました。

1130年代、金は南宋への侵攻を試みましたが、岳飛や韓世忠らの活躍により、逆に窮地に陥りました。宋は一部の領土を奪還しましたが、秦檜ら和平派が台頭し、紹興の和議が結ばれました。この和議により、南宋は淮河以北を金に割譲し、金への臣従を誓いました。

1161年、金の海陵王が南宋征伐を試みましたが、采石磯の戦いで虞允文に敗れ、侵攻は中断されました。1206年から1208年にかけて、宋は金の弱体化に乗じて開禧の北伐を行いましたが、失敗に終わりました。

1233年、モンゴル帝国は宋と対金同盟を結び、蔡州攻囲戦で金を滅ぼしました。この時、哀宗の骨は臨安の宗廟に捧げられ、宋は宋金戦争への勝利を宣言しました。しかし、南宋は中原奪還を掲げて開封・洛陽・南京へ進軍しましたが、モンゴル軍に壊滅的な打撃を受けました。以降、宋はモンゴルとの戦争を戦うことになりました。

戦争の影響

宋金戦争は、中国の技術、文化、人口に大きな変化をもたらしました。戦争では、火薬兵器の初期形態である火槍や火砲が使用されました。また、金の華北征服後、女真族は漢民族への同化が進み、金の国制も中華王朝を模した官制を取り入れました。宋は華北を失ったことで東アジアでの地位が低下しましたが、経済的な繁栄を取り戻し、金との交易を通じて利益を得ました。南宋の首都臨安は、商業の中心都市として発展しました。

宋金戦争は、中国の歴史において重要な転換点となりました。この戦争により、中国は南北に分裂し、その後の政治、経済、文化に大きな影響を与えました。また、火薬兵器の発達を促し、その後の軍事技術の発展に貢献しました。

脆弱な宋金同盟

女真族は、現在の中国東北部から北東アジアにかけての地域に居住していたツングース系の半農半猟の部族でした。女真族の大半は遼に臣従しており、当時の遼はモンゴル・中国北部・東北部・契丹・朝鮮北部・極東ロシアの一部を支配する遊牧民族帝国でした。遼と宋は良好な関係にありましたが、1005年の衝突による澶淵の盟以来、宋は毎年絹20万本と銀10万両を歳幣として支払っていました。

一方で女真族に対する遼の支配では、初夜権が契丹側にあるなどとされたため、女真族側では支配に大きな恨みが残りました。また宋の公主たちも契丹に送られましたが、貞節を奪われて自殺したり、貞節を奪われることに抵抗して殺されたりしました。1114年には、女真族を統一した完顔阿骨打が遼に対して反旗を翻しました。1115年には金の皇帝を名乗りました。遼の亡命者から女真族の反乱成功を聞き、宋側の徽宗や主将の童貫は遼の弱体化に目を付け、燕雲十六州奪還を目論みました。

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