中華民国臨時政府 (1912年-1913年)

中華民国臨時政府

中華民国臨時政府は、1912年1月1日に南京で成立し、1913年10月10日まで存在した中華民国の初期政府です。辛亥革命の成果として誕生しましたが、その成立から終焉までの過程は、激動の時代を象徴するものでした。

南京臨時政府（1912年1月1日 - 1912年4月2日）

1912年1月1日、孫文を臨時大総統として南京で成立した臨時政府です。この時期は、革命勢力が清朝からの独立を確立し、新しい国家の枠組みを模索する重要な期間でした。

歴史的背景

1911年10月10日の武昌蜂起をきっかけに、清朝支配に対する反乱が中国各地で勃発しました。各地の省が相次いで独立を宣言し、中央政府の樹立が急務となりました。各省は独自に地方政権を樹立し、中央政府のあり方について協議を開始しました。

11月9日、中国同盟会の宋教仁と陳其美は南京攻略のために江浙連合軍を組織し、革命の中心は武漢から南京に移りました。同盟会は各省の代表会議で大きな勢力を持ち、立憲派との間で折衷案が合意されました。また、孫文に対し、臨時政府を樹立し指揮を執るよう各方面から要請が寄せられました。

臨時大総統選挙

各省の代表による会議の結果、12月2日には「臨時政府組織大綱」が制定され、臨時大総統選挙の規則が定められました。12月2日、革命軍は南京を占領し、南京が臨時政府の所在地と定められました。12月29日、各省代表会は孫文を臨時大総統に選出しました。

臨時政府の成立

1912年1月1日、孫文は就任宣言を行い、中華民国臨時政府が正式に成立しました。政府組織は『中華民国臨時政府組織大綱』に基づき、大総統を国家元首とする総統制を採用しました。黎元洪が臨時副総統に任命され、1月5日には第1回内閣会議が開かれました。

北京臨時政府（1912年4月2日 - 1913年10月10日）

1912年4月2日、臨時参議院は臨時政府を南京から北京に移転することを決議しました。これは、袁世凱が清朝の退位に貢献したことと、安定した政治基盤を求める動きによるものでした。北京臨時政府は、袁世凱が正式に大総統に就任するまでの過渡的な政府でした。

北京政府への移行

1912年2月12日、清朝は滅亡し、孫文は臨時大総統を辞任しました。臨時参議院は袁世凱を臨時大総統に選出し、3月10日に北京で就任式が行われました。袁世凱は、臨時政府の権限を各機関に委譲し、1913年10月10日に正式な大総統に就任しました。これにより、北京政府（北洋政府）が成立しました。

政府組織

臨時政府は、臨時参議院と臨時大総統府を主要な組織としていました。

臨時参議院：立法機関として、各種法律や制度の制定を行いました。南京から北京に移転し、北京臨時参議院となりました。国会開設に伴い閉院しました。

臨時大総統府：孫文が臨時大総統として、黎元洪が副総統として、それぞれ職務を遂行しました。北京に移転後は、袁世凱が臨時大総統となりました。

国務院：国務総理を頂点に、各部の総長が国務員として大総統を補佐しました。唐紹儀内閣を皮切りに、いくつかの内閣が成立しました。

法院：司法制度の整備を進め、大理院を頂点として、高等審判庁、地方審判庁、初級審判庁を設置しました。

臨時大総統府の主要人員

南京臨時政府

臨時大総統：孫文（1911年12月29日選出、1912年1月1日就任）
臨時副総統：黎元洪（1912年1月3日選出）
秘書長：胡漢民
法制局局長：宋教仁

北京臨時政府

臨時大総統：袁世凱（1912年2月15日選出、3月10日就任）
臨時副総統：黎元洪（1912年2月20日選出）
* 総統府秘書長：梁士詒

まとめ

中華民国臨時政府は、辛亥革命の成果として誕生したものの、その権限は短期間で袁世凱に移譲され、北京政府（北洋政府）の成立へと繋がりました。この間の政治的な動きは、中国近代史において重要な意味を持ち、その後の中国の歴史を左右するものでした。臨時政府の組織や人事、法制度の確立の過程は、近代国家建設の初期段階における試行錯誤を物語っています。

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