中部縦貫自動車道

中部縦貫自動車道：日本列島を縦断する新たな高速道路ネットワーク

中部縦貫自動車道（略称：中部縦貫道、中縦道）は、長野県松本市から福井県福井市までを結ぶ、国土交通大臣指定の高規格幹線道路です。一般国道の自動車専用道路として国道158号に指定され、高速道路ナンバリングではE67の路線番号が割り当てられています。この道路は、日本列島の中央部を南北に貫く重要な交通軸として、地域経済の活性化や防災対策に貢献することが期待されています。

路線概要

中部縦貫自動車道は、長野県松本市を起点に、岐阜県高山市の飛驒清見ICで東海北陸自動車道と接続します。その後、白鳥ICで分岐し、福井県福井市に至るルートです。東海北陸自動車道との重複区間は高速自動車国道、それ以外の区間は国道158号として指定されています。

かつては、県境付近の安房峠や油坂峠の区間は冬季閉鎖されていましたが、安房峠道路と油坂峠道路の開通により、年間を通じた通行が可能となりました。全線開通すれば、北陸自動車道から中部縦貫自動車道、長野自動車道、中央自動車道へと至るルートが完成し、福井県と関東地方、特に東京都を結ぶ最短ルートが確立されます。

路線データ

起点: 長野県松本市（松本JCT（仮称））
終点: 福井県福井市（福井北JCT/IC）
延長: 約160 km（東海北陸自動車道との重複区間を除く）
道路区分: 第1種第3級、第1種第4級、第3種第3級（区間により異なる）
設計速度: 80 km/h（区間により60 km/hの区間あり）
車線数: 暫定2[[車線]]（完成4車線計画）

主要な事業区間とインターチェンジ

中部縦貫自動車道は、複数の事業区間で構成されており、それぞれ建設段階や開通状況が異なります。主な事業区間とインターチェンジは以下の通りです。

1. 松本波田道路: 長野県松本市島立から同市波田石原までの区間。長野自動車道と接続する松本JCT（仮称）が計画されています。アクセス道路の整備や地元住民との合意形成に時間を要しており、開通にはまだ時間がかかると予想されます。

2. 安房峠道路: 長野県松本市安曇中ノ湯（中ノ湯IC）から岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯（平湯IC）までの区間。安房峠を貫通するトンネルによって、長野県と岐阜県を短絡する重要なルートとなっています。

3. 高山東道路: 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯（平湯IC）から同市丹生川町久手（久手IC）までの区間。急峻な地形を克服するための難工事であり、段階的な整備が進められています。

4. 高山清見道路: 岐阜県高山市丹生川町坊方（丹生川IC（仮称））から同市清見町夏厩（飛驒清見IC）までの区間。東海北陸自動車道と重複する区間を含みます。

5. 油坂峠道路: 岐阜県郡上市白鳥町向小駄良（白鳥IC付近）から福井県大野市東市布（油坂出入口）までの区間。かつては有料道路でしたが、現在は無料化されています。急勾配や急カーブが特徴的な区間です。

6. 大野油坂道路: 福井県大野市東市布（油坂出入口）から同市中津川（大野IC）までの区間。未開通区間も多く、段階的な開通が続いています。

7. 永平寺大野道路: 福井県大野市中津川（大野IC）から同県福井市玄正島町（福井北JCT/IC）までの区間。2017年に全線開通しました。北陸自動車道と接続しています。

歴史

中部縦貫自動車道の建設は、安房トンネルの現地調査開始（1965年）に遡ります。その後、複数の事業区間が段階的に事業化され、建設が進められてきました。近年は、未開通区間の整備が加速しており、全線開通に向けた取り組みが活発化しています。

今後の展望

中部縦貫自動車道は、地域経済の活性化、観光振興、防災対策など、多様な効果が期待される重要な交通インフラです。全線開通により、日本列島の中央部を南北に結ぶ高速道路ネットワークがさらに強化され、物流効率の向上や観光客の増加などが期待されています。しかし、未開通区間の整備には、地形的な制約や環境問題への配慮、地元住民との合意形成など、様々な課題が残されています。今後も、これらの課題への対応をしながら、着実に整備を進めていくことが重要です。

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