中野直由

中野直由について

中野直由（なかの なおよし）は、戦国時代において名を馳せた武将で、遠江国引佐郡に拠点を置く井伊氏の重臣でした。彼は井伊氏当主・井伊直氏の弟、直房の血筋を引き継いでおり、直由は直房の孫にあたります。また、直由の家族関係は非常に興味深く、彼の妻または息子の妻が、井伊氏当主・井伊直親の妻であるおひよと姉妹であったため、井伊氏との繋がりは非常に深いものでした。

直由の活躍と井伊氏との関係

彼は井伊直盛の重職を担っており、特に重要な役割を果たしていました。永禄3年（1560年）、井伊氏が従属する今川義元が尾張国への侵攻を計画する際、直由は井伊谷の留守を任されます。しかし、今川軍は桶狭間の戦いで織田信長に敗れ、直盛も戦死してしまいます。直盛は遺言として、井伊谷を狙う小野道好と不仲だった養嗣子・直親の後見役として直由を指名しました。これにより、直由は直親の後見役となり、井伊氏の運命を担う重要な立場に就くことになりました。

この選任は、直由が「信濃守」と名乗ることを許可される重要な意味を持っていました。直由が後見役としての職務を果たすことで、小野道好は自身の策略を実行に移すことができなくなり、井伊氏の安定を守ることに貢献しました。永禄5年末（1563年）には直親が、次いで永禄6年（1564年）には直平が死去しますが、直由はその後も井伊氏の後見役としての職責を全うしました。

引馬城の攻防

しかし、永禄7年（1564年）になると、引馬城主・飯尾連龍が今川氏から離反してしまいます。これに対し、今川氏真は家臣である新野親矩と共に直由に引馬城攻撃を命じます。直由は増援を要請し、2千人の兵を得て引馬城を攻撃しますが、連龍の守備に苦しみ、結局直由は城の東にあたる天馬橋にて親矩と共に討死してしまいました。

直由の死により、井伊氏は無主状態に陥ります。そのため直盛の後家・祐椿尼と井伊氏の菩提寺である龍潭寺の僧侶・南渓瑞聞が協議の結果、直盛の娘である次郎法師、すなわち井伊直虎を新たな当主として擁立することに決定します。

直由の影響と後世への評価

中野直由は、井伊氏の歴史において非常に重要な位置を占めていた武将であり、その死は井伊氏の運命を大きく左右しました。彼の後見によって井伊氏は短期間ではありますが、内紛を免れることができました。直由の生涯は、戦国時代の武将たちがどのようにして家族や忠義のために戦ったのかを物語っています。

登場する作品

中野直由はNHKドラマ「おんな城主 直虎」にも登場しており、俳優の筧利夫によって演じられています。この作品を通じて、彼の人物像は多くの人々に知られることとなりました。

彼の名は、井伊氏の歴史や戦国時代を理解する上で忘れてはならない存在となっているのです。

もう一度検索