中野騒動

中野騒動

中野騒動は、明治3年（1870年）に旧信濃国北部の中野県で発生した、農民による大規模な一揆です。この騒動は、新政府の政策に対する農民の不満が爆発したもので、年貢の削減や特権的な豪商の告発、新税の廃止などを求めて蜂起しました。

騒動の背景

明治3年9月、中野県は伊那県から分立しました。初代大参事の高石和道は、民部省の意向を受けて増税策を次々と打ち出しました。しかし、当時、贋金の流入による経済の混乱や米価の高騰によって、農民の生活は困窮していました。そのような状況下で、近隣の松代藩や須坂藩で発生した一揆が、中野県の農民たちの不満を刺激し、騒動へと発展するきっかけとなりました。

騒動の勃発と拡大

12月19日、高井郡高井野村（現在の高山村）で蜂起した約2000人の一揆勢は、羽場村（現在の小布施町）に集結し、中野町（現在の中野市）へと進軍しました。彼らは、特権的な豪農や商家を打ち壊し、中野県庁を焼き討ちにし、県吏を殺害するという過激な行動に出ました。高石大参事は逃亡し、松代藩に匿われる事態となりました。

騒動の鎮圧とその後

騒動の拡大を受けて、松代藩をはじめとする各藩の兵が鎮圧に乗り出し、12月21日には一揆勢は退散しました。しかし、翌年1月からは明治政府軍（佐賀藩兵が主力）によって一揆参加者の捜索が行われ、約600名が逮捕されました。そして2月27日、首謀者たちは、斬首刑や絞首刑、徒刑などの厳罰に処されました。

県庁が焼失したため、法運寺が仮庁舎として使用されましたが、後任の立木兼善県知事は、中野での県庁再建を断念し、長野への移庁を政府に上申しました。その結果、7月25日に長野県が成立し、中野県は廃止されました。立木はその後、筑前竹槍一揆の鎮圧後の福岡県令として転任しています。

騒動の影響

中野騒動は、明治初期の地方政治における混乱を象徴する出来事であり、新政府の政策に対する農民の不満が、いかに深刻であったかを物語っています。また、この騒動が、その後の長野県成立に繋がったという点で、重要な歴史的意義を持っています。

関連事項

上田騒動
松代騒動
府藩県三治制

参考文献

『長野県史 通史編 第7巻 近代1』
『中野騒動史』
湯本軍一『須坂中野飯山の歴史』
* 山本金太『中野騒動 明治維新北信濃の夜明け』

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