立木兼善

立木兼善（たちき かねよし）

立木兼善は、天保5年（1834年）に淡路国津名郡谷村（現在の兵庫県淡路市）で生まれ、明治42年（1909年）12月24日に亡くなった日本の政治家です。旧姓は杉浦、のちに林を名乗り、さらに立木と改姓しました。正四位。

生い立ちと勤王の志士としての活動

立木兼善は、淡路の村医者の子として生まれました。幼名は杉浦七郎と言いました。後に、林立玄、林徹之丞、立木徹之丞と改名しています。徳島藩士族となり、洲本にあった徳島藩（蜂須賀家）の学問所である益習館で学びました。幕末期には、天誅組の変に関与するなど、勤王の志士として頭角を現しました。

明治政府での活躍

明治2年（1869年）、立木は明治政府に出仕し、若松県知事、若松県権知事、福島県権知事を歴任しました。明治3年（1870年）には、岩倉具視の内命により、庚午事変の調停のため、岩鼻県権知事の小室彰と共に徳島に派遣されましたが、調停は不調に終わり、帰京しました。明治4年（1871年）には、中野騒動鎮圧後の中野県に権知事として赴任し、長野町に善光寺取締所を設置しました。また、県庁の長野移転を政府に上申し、同年6月22日に太政官布告を受け、7月25日に移転を実現しました。その後、長野県権令に任命されました。明治6年（1873年）には、筑前竹槍一揆鎮圧後の福岡県令に異動しました。

裁判官、弁護士としての活動

明治8年（1875年）、立木は四等判事に任じられ、東京上等裁判所に勤務しました。翌年には横浜裁判所長となり、農民騒動である真土事件などを担当しました。西南戦争にも従軍しています。明治12年（1879年）に免官となり、民権派の法律事務所「北洲社」を経営し、弁護士として活動しました。真土事件では農民側を勝訴に導き、農民からの信頼を厚くしました。「吾国勇名ノ国士」と期待され、農民側の代言人として活躍しました。

小笠原島庁初代島司、晩年

明治18年（1885年）、東京府御用掛を経て、兇徒聚衆事件のあった小笠原の出張所所長となり、明治19年（1886年）には小笠原島庁の初代島司に就任しました。島では、国外退去を拒否して移送されてきた金玉均の監視などを行いました。その後、元老院議官、貴族院議員を歴任しました。退官後は、石上神宮や松尾神社の宮司を務めました。

栄典

明治23年（1890年）06月19日 - 従四位
明治27年（1894年）05月21日 - 正四位

参考文献

『長野県史 通史編7巻 近代1』
徳島県立文書館『徳島幕末維新期人名事典』

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