丸山可澄

丸山可澄（まるやま よしずみ）は、明暦3年（1657年）に生まれ、享保16年5月11日（1731年6月15日）に没した、江戸時代前期から中期にかけての国学者、儒学者、神道家です。号は活堂（かつどう）または混斎（こんさい）、字は仲治（ちゅうじ）、通称は雲泉（うんせん）、後に雲半（うんぱん）と名乗りました。名前は可証（かしょう）とも表記されます。


常陸国（現在の茨城県常陸太田市）で、水戸藩士であった田代乗久の次男として生まれました。後に実母の旧姓である丸山氏に改姓しました。学問に励み、彰考館で『大日本史』の編纂事業に携わるとともに、日本の各地を旅して見聞を広めました。さらに、今井有順（桐軒）に師事して神道を学び、幅広い知識と教養を身につけました。


18歳頃には水戸藩主徳川光圀の御家人となり、天和3年（1683年）には書物の出納・管理を担当するようになりました。光圀の命により、日本の歴史上の人物の花押（かおう：署名の代わりに使用された記号）を年代や位階によって分類した総合図鑑を出版し、その功績により広く知られるようになりました。この図鑑は、日本の歴史研究において非常に重要な資料となっています。


丸山可澄の主な著作には、以下のようなものがあります。

『諸家系図纂』：元禄5年（1692年）に完成した全30巻からなる著作です。様々な人物の略伝を体系的に分類した、日本初の図鑑と言えるでしょう。
『近代帝系』：歴代天皇の系譜をまとめたものです。
『筑紫巡遊日録』：九州地方を旅した際の記録です。当時の地理や風俗を知る上で貴重な資料となっています。
『泰伯論』：中国の古典『論語』の中の泰伯篇に関する注釈書です。


これらの著作から、丸山可澄が単なる歴史研究者ではなく、幅広い知識と深い洞察力を持った人物であったことがわかります。彼の業績は、日本の歴史研究に大きな影響を与え、今日でも高く評価されています。


丸山可澄は、国学、儒学、神道の学問に通じ、歴史研究にも優れた業績を残しました。特に『諸家系図纂』は、その後の歴史研究に大きな影響を与えただけでなく、日本における図鑑の先駆けとしても重要な意味を持っています。彼の生涯は、江戸時代の学問と文化を語る上で欠かせないものとなっています。


出典：
朝日日本歴史人物事典（朝日新聞出版）『丸山可澄』- コトバンク
美術人名辞典（思文閣）『丸山可澄』- コトバンク
* デジタル版 日本人名大辞典+Plus（講談社）『丸山活堂』- コトバンク

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