丸岡莞爾

丸岡莞爾の生涯

丸岡莞爾（まるおか かんじ）は、1836年（天保7年）に土佐藩士の家に生まれ、幕末から明治にかけて活躍した人物です。藩士としてだけでなく、官僚、歌人としても才能を発揮し、その生涯は激動の時代を映し出しています。

生い立ちと初期の活動

丸岡莞爾は、土佐藩士・吉村三助長秋の長男として誕生しました。幼少期から学問に励み、鹿持雅澄に国学を学びました。また、坂本龍馬とも親交があったとされています。これらの交流は、彼の思想形成に大きな影響を与えたと考えられています。

明治維新後の活躍

明治維新後、丸岡莞爾は新政府で重要な役割を担うことになります。1870年（明治3年）には土佐藩の大従事、翌年には大阪府の権大属に就任し、その後も左院の中議生、海軍省の五等出仕などを歴任しました。

1875年（明治8年）には式部権助に就任し、式部寮での役職を重ねました。また、内務省にも籍を置き、内務大書記官、社寺局長などを歴任しました。1888年（明治21年）には沖縄県知事に就任し、皇民化教育を推進しました。その後、高知県知事に転任しますが、短期間で退任しています。

多様な才能

丸岡莞爾は、官僚としての仕事だけでなく、歌人としても才能を発揮しました。歌集『蒼雨余滴』は、彼の文学的な側面を今に伝えています。また、能楽にも造詣が深く、長男の丸岡桂は歌人・能楽書林創業者として知られています。

家族と親族

妻の喜久は土佐藩士の娘で、長男の桂、孫の明も文筆の世界で活躍しました。また、妹のまきは武市半平太の甥に嫁ぎ、西山千賀の血縁を含め、一族は作家の安岡章太郎の作品にも登場します。

丸岡莞爾の死

丸岡莞爾は1898年（明治31年）に63歳で亡くなり、青山霊園に埋葬されました。彼の生涯は、激動の時代を生き抜き、多岐にわたる分野で才能を発揮した人物の足跡を今に伝えています。

年譜

1870年（明治3年）5月 - 土佐藩大従事
1871年（明治4年）4-5月 - 大阪府権大属
1871年（明治4年）12月15日 - 左院中議生
1872年（明治5年）- 左院四等議官・兼教部省六等出仕
1874年（明治7年）9月 - 海軍省五等出仕、さらに海軍省権大書記官
1876年（明治9年）5月 - 式部寮に転属。式部助。
1877年11月頃 - 権助に降格。
1878年（明治11年）1月 - 権助兼一等掌典職
1880年（明治13年）7月21日 - 楠木正成に対する贈正一位の勅使
1881年（明治14年）- ハワイ王カラカウアの接待役
1882年（明治15年）4月か5月 - 権頭に昇任
1883年（明治16年）- 内務大書記官
1884年（明治17年）- 兼造神宮奉行
1887年（明治20年）- 内務省社寺局長兼造神宮支庁副使
1888年（明治21年）9月 - 沖縄県知事
1892年（明治25年）7月 - 高知県知事
1892年（明治25年）11月 - 高知県知事退任
1898年（明治31年）3月6日 - 卒去

栄典と親族

1886年（明治19年）11月16日 - 正五位
1893年（明治26年）6月20日 - 正四位
1884年（明治17年）8月20日 - イタリア王国：イタリア王冠勲章コマンダトレ

著作

歌集『蒼雨余滴』

参考文献

安岡章太郎『鏡川』
上田正昭他『日本人名大辞典』
* 歴代知事編纂会『日本の歴代知事』




丸岡莞爾の生涯は、日本の近代化を支えた人々の生き様を伝える貴重な資料と言えるでしょう。

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