丹保憲仁

丹保憲仁

丹保憲仁（たんぼ のりひと、1933年3月10日 - 2023年8月6日）は、日本の工学者であり、環境工学を専門としていました。北海道天塩郡豊富町の出身で、北海道大学と放送大学の名誉教授を務め、地方独立行政法人北海道立総合研究機構の理事長も務めました。その学術的貢献と社会活動により、従三位に叙されています。

学歴と職歴

丹保氏は、1945年に北海道庁立札幌第一中学校に入学し、1951年に北海道札幌東高等学校を卒業しました。その後、北海道大学に進学し、1955年に工学部土木工学科を卒業、1957年には大学院工学研究科土木工学専攻修士課程を修了しました。

1957年4月には北海道大学工学部の講師となり、その後、助教授、教授と昇進しました。1962年にはアメリカ・フロリダ大学化学科の研究員として研究活動を行い、1965年に北海道大学から工学博士の学位を取得しました。1993年から1995年までは北海道大学工学部長を務め、1995年から2001年には北海道大学総長に就任しました。

北海道大学退任後、2001年5月から2007年4月まで放送大学長を務め、2007年5月には放送大学顧問及び名誉教授となりました。また、2007年には北海道開拓記念館（現・北海道博物館）の館長に就任し、2010年まで務めました。2010年4月には、地方独立行政法人北海道立総合研究機構の初代理事長に就任するなど、多岐にわたる分野で活躍しました。

受賞と栄典

丹保氏は、その研究業績と社会貢献により、数々の賞を受賞しています。1966年の日本水道協会有効賞、1971年の日本水処理工業連盟「水」賞、1991年の土木学会著作賞、1992年の日本水環境学会功労賞、1993年の日本水環境学会学術賞、1995年の日本水道協会功労賞、2004年の土木学会功績賞などがあります。

特に、2009年には瑞宝大綬章を受章し、2010年には国際水協会会長大賞（IWAプレジデンシャル･アワード）と北海道功労賞を受賞しています。

主な著書

丹保氏は、多くの著書や編著を通じて、環境工学の分野に貢献しました。主な著書には、『水質制御の物理化学的プロセス』、『水道とトリハロメタン』、『浄水の技術―安全な飲み水をつくるために』、『水質環境工学―下水の処理・処分・再利用』、『これからの大学と大学運営』、『水環境の工学と再利用』、『人口減少下の社会資本整備―拡大から縮小への処方箋』、『水文大循環と地域水代謝』、『変革と水の21世紀』、『21世紀の日本と北海道』、『人と水 〜今日から明日へ』、『都市・地域 水代謝システムの歴史と技術』、『水の危機をどう救うか』、『水処理工学の基礎（上）』などがあります。

社会的活動

丹保氏は、学術研究だけでなく、様々な社会的活動にも積極的に参加しました。厚生省生活環境審議会委員（1980年 - 1988年）、土木学会環境工学委員会委員長（1987年）、日本学術会議会員（1997年 - 2003年）、大学基準協会会長（1999年 - 2001年）、国際水協会会長（2001年 - 2003年）、土木学会会長（2001年 - 2002年）、文部科学省大学設置・法人審議会会長（2001年 - 2004年）、国立大学法人教育研究評価委員会委員長（2004年 - 2010年）、日本学術振興会21世紀COEプログラムプログラム委員会委員（平成18年度）など、多くの役職を歴任しました。

2023年8月6日、老衰のため90歳で死去。その功績を称え、死没日をもって従三位に叙されました。

外部リンク

* 道産子 丹保憲仁ブログ

丹保憲仁は、環境工学の分野で多大な貢献をし、教育者、研究者、そして社会活動家として、多くの人々に影響を与えた人物です。

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