丹後海陸交通天橋立鋼索鉄道

天橋立鋼索鉄道（あまのはしだてこうさくてつどう）

天橋立鋼索鉄道は、京都府宮津市に位置する丹後海陸交通が運営するケーブルカー路線です。「天橋立ケーブルカー」や「傘松ケーブル」といった愛称でも広く知られています。この路線は、日本三景の一つとして名高い天橋立の景勝地や、その奥に位置する傘松公園、さらに成相山成相寺へと続く参詣ルートの重要な一部を構成しています。

路線概要

本路線は、府中駅から傘松駅までの0.4キロメートルを結んでいます。軌間は1067ミリメートルで、途中駅はなく、起点と終点の2駅のみで構成されています。標高差は130メートルあり、ケーブルカーならではの急勾配区間を有しています。最も急な勾配は461パーミル（‰）に達しますが、起点である府中駅構内は比較的緩やかな勾配（78パーミル）となっており、これは粘着式鉄道として国内有数の急勾配区間を持つ小田急箱根鉄道線（箱根登山電車）の最急勾配（80パーミル）よりも緩やかです。このため、府中駅のホームは階段ではなく、スロープが採用されているのが特徴です。

運行情報

通常、15分間隔での運行が実施されており、府中駅から傘松駅までの所要時間は約4分です。営業時間は季節によって変動します。

1月、2月、12月：午前8時から午後4時30分まで
3月、11月：午前8時から午後5時まで
4月、5月、6月、9月、10月、7月1日から7月19日、8月21日から8月31日：午前8時から午後5時30分まで
7月20日から8月20日：午前8時から午後6時まで

車両

現在運用されている車両は、1975年にアルナ工機で製造されたものです。特筆すべきはその車体長で、7.95メートルと、日本の鉄道事業法に基づくケーブルカーの旅客車としては比較的短い部類に入ります。

歴史

天橋立鋼索鉄道の歴史は、大正時代に始まります。1924年（大正13年）6月21日には、丹後自動車に対し鉄道免許状が下付されました。その後、1925年（大正14年）12月5日に成相電気鉄道が設立され、翌1926年（大正15年）5月5日には、丹後自動車が保有していた鉄道敷設権が成相電気鉄道に譲渡されることが許可されました。そして、1927年（昭和2年）8月13日、成相電気鉄道によって府中駅と傘松駅の間が開業に至りました。同年12月22日には、社名が天橋立鋼索鉄道へと変更されています。1929年（昭和4年）8月5日には、傘松から成相寺への乗合自動車運行も開始されましたが、第二次世界大戦中の1944年（昭和19年）2月11日、「不要不急線」として鉄道路線は一旦廃止されました。同年5月31日には、天橋立鋼索鉄道会社自体も解散しています。戦後、1950年（昭和25年）5月18日に、丹後海陸鉄道（現在の丹後海陸交通）に対して府中 - 傘松間の地方鉄道免許が再び下付され、1951年（昭和26年）8月12日、丹後海陸交通の手により、府中 - 傘松間は運行を再開し、現在に至っています。

その他の特徴と接続

本路線にはケーブルカーと並行してリフトも併設されており、どちらを利用しても乗車券は共通となっています。起点の府中駅は、京都丹後鉄道宮豊線の天橋立駅からのアクセス拠点となっています。天橋立駅からは、丹後海陸交通のバスや観光船を利用するか、あるいは景観を楽しみながら天橋立を徒歩で渡るルートで接続することが可能です。

天橋立観光や成相山への参詣にとって、天橋立鋼索鉄道は重要なアクセス手段として機能しています。

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