丹羽藤吉郎

丹羽藤吉郎

丹羽藤吉郎（にわ とうきちろう）は、1856年3月8日（安政3年2月2日）に生まれ、1930年（昭和5年）3月12日に亡くなった日本の薬学者です。

生涯

生い立ちと初期の教育

丹羽藤吉郎は、佐賀藩士の丹羽与左衛門の次男として誕生しました。幼少期は佐賀藩校で学び、その後、廃藩置県後の1871年（明治4年）に大学校に入学しました。大学校では、お雇い外国人として来日していたドイツ人医師、ヤーコプ・カデルリー（カドリーとも）からドイツ語を学びました。カデルリーは、当時の日本の医学教育に大きな影響を与えた人物として知られています。

東京帝国大学での学び

大学校は後に東京帝国大学（現在の東京大学）へと名称が変更され、丹羽は1873年（明治6年）にドイツ語学科に入学しました。しかし、その後、フグ毒の研究で知られる田原良純らが所属していた製薬学科へと転科しました。製薬学科では、同じくお雇い外国人であったドイツ人化学者、アレクサンダー・ランガルトに師事し、製薬化学の研究に励みました。ランガルトは、有機化学の分野で重要な業績を残した人物であり、丹羽の研究に大きな影響を与えたと考えられます。

研究者としてのキャリア

1878年（明治11年）に東京帝国大学を卒業後、丹羽は1880年（明治13年）に日本薬学会の設立に携わりました。翌1881年（明治14年）からは母校の助教授として教鞭を執り、後進の育成に尽力しました。
1886年（明治19年）には、学制改革による学科廃止の動きに対し、当時の文部大臣であった森有礼に直訴し、学科の復活に成功しました。この出来事は、丹羽の強い意志と行動力を示すエピソードとして知られています。

ドイツ留学

1900年（明治33年）には、研究のためにドイツへ留学し、ベルリン大学でヘルマン・トームス教授に師事し、再び製薬化学の研究に打ち込みました。トームスは、植物化学の分野で著名な研究者であり、丹羽は彼の指導のもとで、最先端の製薬化学を学びました。この留学での経験は、帰国後の丹羽の研究活動に大きな影響を与えました。

帰国後の活躍

ドイツ留学から帰国後、丹羽は教授に昇格し、インディゴの合成開発やカフェイン製造の実現に貢献しました。これらの成果は、当時の日本の産業に大きく貢献しました。また、薬学博士の学位を取得し、日本薬品工業学会の設立にも携わり、初代会長を務めました。さらに、大日本帝国陸軍に向けた火薬安定剤の指導や附属病院の初代薬局長、日本製薬協会及び日本薬剤師会の会長なども歴任し、医薬分業の推進に貢献しました。

晩年

晩年には、日本薬学会の会長を3代に渡り務め、日本の薬学の発展に尽力しました。丹羽藤吉郎の墓所は多磨霊園にあります。彼の生涯は、日本の薬学の発展に大きく貢献した人物として、後世に語り継がれています。

業績

インディゴの合成開発
カフェイン製造の実現
日本薬学会の設立
日本薬品工業学会の設立
医薬分業の推進

参考資料

丹羽藤吉郎 - ぷららブログ

丹羽藤吉郎は、その卓越した知識と行動力で、日本の薬学の発展に大きく貢献した人物です。彼の功績は、現代の日本の薬学を支える基盤となっています。

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