丹霞地形

丹霞地形：中国の赤い絶景

丹霞地形（たんかちけい）は、中国南部に見られる独特の地形であり、切り立った断崖や奇岩が連なる景観が特徴です。その名の由来は、広東省にある丹霞山にあります。この地形は、主に白亜紀の赤みがかった砂岩や礫岩が隆起し、長年の侵食によって形成されました。

丹霞地形の成り立ち

「丹霞」という言葉が地質学の分野で初めて使われたのは1928年。丹霞山にちなんで「丹霞層」と呼ばれました。その後、1939年に地質学者の陳国達が、この地形を「丹霞地形」と命名しました。

丹霞地形は、その発達段階によって異なる景観を見せます。福建省泰寧県の丹霞地形は「幼年期」の好例とされ、深く狭い渓谷が特徴的です。年月を経ると侵食が進み、渓谷は広がり、孤立した塔のような地形が現れます。

カルスト地形との違い

丹霞地形が形成する景観は、カルスト地形と類似している点もありますが、その成り立ちには大きな違いがあります。カルスト地形が石灰岩を主成分とするのに対し、丹霞地形は砂岩や礫岩で構成されています。そのため、「カルスト地形もどき」と呼ばれることもあります。

丹霞地形の洞窟

丹霞地形では、侵食作用によってさまざまな規模と形状の洞窟が形成されます。これらの洞窟は比較的浅く、孤立しているのが特徴です。カルスト地形の鍾乳洞が深く入り組み、互いにつながっているのとは対照的です。江西省竜虎山には、洞窟を利用した約2600年前の懸墓遺跡群が残されており、古くから人々に利用されてきたことがわかります。

世界遺産とジオパーク

2010年、貴州省の赤水、福建省の泰寧、湖南省の崀山、広東省の丹霞山、江西省の竜虎山、浙江省の江郎山に残る丹霞地形が、ユネスコの世界遺産リストに登録されました。また、泰寧、丹霞山、竜虎山の3箇所は、世界ジオパークとしても認定されています。

丹霞地形は、中国が誇る貴重な自然遺産であり、その独特な景観は多くの人々を魅了し続けています。

参考文献

王蕾 (2009) 「丹霞を見にやって来るそよ風」（『人民画報』日本語インターネット版）
世界のジオパーク編集委員会・日本ジオパークネットワークJGN 共編 (2010) 『世界のジオパーク』 オーム社

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