主体年号

主体年号とは

主体年号（チュチェねんごう）は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）で1997年から2024年まで使用されていた紀年法です。この紀年法は、北朝鮮の初代最高指導者である金日成の生誕年、1912年を元年としています。暦法はグレゴリオ暦を採用しており、西暦から1911を差し引くことで主体年号を算出できます。例えば、西暦2024年は主体113年に相当します。

起源

主体年号の提案は1988年に遡ります。北朝鮮の天道教青友党党首であり、朝鮮天道教中央指導委員長などを務めた崔徳新（チェ・ドクシン）が、自身の著書『金日成、彼は天主様』の中で初めてこの紀年法の使用を提唱しました。

使用

主体年号は、金日成の生誕年である1912年を「主体元年」として起算されます。他の紀年法と同様に、元年を1年として数えるため、金日成の生誕周年と暦の年数には1年のずれが生じます。たとえば、金日成の生誕100周年にあたる2012年は「主体101年」となります。この紀年法は期限を設けず継続して用いられ、グレゴリオ暦を暦法としているため、月日については西暦と共通しています。

北朝鮮では、建国以来西暦を公用年号として使用していましたが、金日成の三回忌翌日である1997年7月9日に「重大放送」で主体年号が新たな紀年法として公表されました。ただし、「主体元年」から「主体86年7月8日」までは、公式には使用されていません。建国記念日である1997年9月9日から公式な使用が開始されました。

主体年号は、北朝鮮の公式行事やマスメディア、カレンダーなど、公的な場で使用されました。西暦と併用されることもありました。朝鮮中央テレビや朝鮮の声放送の日本語放送では、「チュチェ〇年、(西暦)△年」というように、両方の年号を併記して読み上げることが一般的でした。

廃止

2024年10月12日付の朝鮮労働党機関紙である労働新聞には「主体113」と記載されていましたが、翌13日からは西暦のみの表記に切り替わりました。また、10月11日夜に発表された北朝鮮外務省の重大声明では主体年号が併記されていましたが、10月12日の金与正朝鮮労働党副部長の談話では西暦のみの表記となりました。これらの出来事から、主体年号の使用は中止されたと見られています。

西暦・和暦との対照表

主体元年（1912年）から主体85年（1996年）までは公式に使用されていないため、対照表は省略します。

他の紀年法との一致

主体年号は、日本の大正および中華民国（台湾）の民国[[紀元]]と元年が一致するという特徴があります。「主体N年」は「大正N年」および「民国N年」に相当します。ただし、大正は皇紀のような紀元ではなく元号であり、期間も1912年7月30日から1926年12月25日までであるため、完全に一致するわけではありません。大正元年である大正天皇の践祚年、主体元年である金日成の誕生年、中華民国の成立年が偶然にも同年であるというだけで、これら3つに関連性はありません。

脚注

[1] 崔徳新の著書『金日成、彼は天主様』

関連項目

紀元
主体思想
労働新聞 ([[朝鮮労働党)]]
平壌時間
主体（曖昧さ回避）
朝鮮民主主義人民共和国の祝日

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