久世広業

久世広業：関宿藩最後の藩主の生涯

久世広業は、下総国関宿藩最後の藩主として知られる人物です。関宿藩久世家9代当主にあたります。安政5年（1858年）、江戸関宿藩邸において、先々代藩主久世広周の次男として誕生しました。

彼の生涯は、激動の幕末から明治維新へと続く時代と深く関わっています。明治元年（1869年）、兄である先代藩主・久世広文が戊辰戦争で佐幕派に与したため、処分を受け、隠居・減封・官位剥奪という厳しい状況に陥りました。この事態を受け、14歳だった兄広文の養子となり、12月14日にわずか11歳で家督を相続することとなります。

明治2年（1869年）6月、版籍奉還により関宿藩知事に任じられました。同年の8月24日には従五位下に叙せられ、正式に藩主としての地位を確立しました。しかし、明治4年（1871年）7月の廃藩置県により、藩主の職を解かれることとなります。これは、明治政府による全国的な行政改革の過程における必然的な出来事でした。

廃藩置県後も、久世広業は社会的に重要な役割を果たし続けました。明治17年（1884年）7月8日には、子爵に叙任され、華族として認められました。これは、彼のこれまでの功績と社会的地位の高さを示すものでした。そして、明治44年（1911年）11月7日、54歳で生涯を閉じました。

家族関係

久世広業の家族関係も、彼の生涯を理解する上で重要な要素です。実父は久世広周、実母は玉井氏（側室）です。養父は前述の久世広文です。

妻は2人おり、正妻は松平信宝の三女である松平由、継妻は有馬道純の四女である有馬直子です。

子女には、久世広英、久世盈吉、久世貞子（子爵桜井義功夫人、後に男爵常磐井堯猷夫人）、久世順吉、久世勝之助、久世雄吉、久世敏子（子爵松平武親夫人）、久世八重子（子爵織田長義夫人、後に留守邦太郎夫人）がいます。

このように、久世広業は激動の時代にあって、藩主としての役割、そして華族としての地位を全うした人物と言えるでしょう。彼の生涯は、単なる藩主の物語にとどまらず、明治維新という大きな歴史的転換期を生き抜いた一人の人物のドラマとして、後世に語り継がれるべきものです。彼の功績と生き様は、日本の近代化史の一端を担っていると言えるでしょう。

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