久保幸夫

久保幸夫について

久保幸夫（くぼ さちお、1950年 - ）は、地理情報システム（GIS）の開発および研究において日本の先駆者であり、計量地理学の分野で重要な役割を果たした地理学者です。彼の学問的キャリアは、名古屋大学文学部史学科での学生時代に始まりました。1970年代前半、特に計量地理学に関する関心が高まっている中で彼はこの学問の探求に取り組みました。

名古屋大学で学んだ後、久保は東京大学大学院の理学系研究科地理学専攻に進学し、1975年には修士論文「アーバンフリンジにおける土地利用変化－確率過程による拡散分析－」を提出して理学修士号を取得しました。その後、東京大学理学部で助手として研究を続け、地理学の発展に寄与しました。

久保は、地理情報システムに関する研究を1970年代後半から始め、高橋潤二郎などと共にGISの導入に取り組みました。1978年には、位寄和久と共に「地理情報グラフィックシステムALIS」を開発し、この分野における先端技術を日本に導入しました。さらに、1980年代初頭には、GISの研究動向の紹介にも尽力し、多くの研究者に影響を与えました。

1985年には、博士論文「地理的情報システムとその都市周縁部研究への応用」を発表し、博士（理学）の学位を取得しました。この時期、久保は計量地理学の領域で最も活躍している研究者として評価され、1986年にはお茶の水女子大学文教育学部地理学科に講師として転任しました。同大学では1989年に助教授に昇進し、さらに1991年には慶應義塾大学環境情報学部の助教授に転じました。

1990年代の中頃には教授に昇任し、教育活動だけでなく、地理情報システムの研究と発展への貢献を続けました。しかし、2000年代に大学を離れると、その後は創価大学教育学部で非常勤講師として教育研究を行い、日本学術会議の特任連携会員としても活動を続けました。2013年には、地理情報システム学会から名誉上級技術者として認定され、その業績と専門性が評価されました。

主な著書

久保幸夫の著書には以下のものがあります：

• - 単著:

- 「新しい地理情報技術」(古今書院、1996年)

• - 共著:

- 「日本の食生活」（鈴木秀夫との共著、朝倉書店、1980年、コンピュータ・マッピング・シリーズ）
- 「地理情報科学の新展開」（厳網林との共著、日科技連出版社、1996年、慶應SFC人間環境ライブラリー）

• - 共編著:

- 「アトラス日本列島の環境変化」（西川治監修、氷見山幸夫、太田勇、田村俊和、野上道男、村山祐司、寄藤昴との共編、朝倉書店、1995年）

このように、久保幸夫は地理情報システムに関する先駆的な研究を通じて、日本における地理学の発展に大いに寄与した人物であります。彼の活動は、計量地理学やGISの進展に影響を与え、今後の研究にも影響を与え続けることでしょう。

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