久保田二郎

久保田二郎（1926年 - 1995年）は、エッセイスト、ジャズ評論家、雑誌編集者として知られ、日本の音楽文化に大きな足跡を残しました。彼は東京都渋谷区千駄ヶ谷で生まれ、幼少期からアメリカ文化に親しんで育ちました。香川県出身であることも彼のバックグラウンドを語る上で重要な要素です。

生い立ちと音楽との出会い

千駄ヶ谷の鳩森八幡神社の近くで育った久保田は、青山師範付属小学校、法政大学へと進学しました。戦後、彼はジャズ・ドラマーとしてのキャリアをスタートさせ、音楽の世界に深く関わるようになりました。その後、彼は博学な知識を活かしてジャズ評論家として活躍し、キング・ジャズ・シリーズの監修者としてもその才能を発揮しました。

『スイングジャーナル』での活躍と植草甚一の起用

久保田は『スイングジャーナル』誌の編集長として、日本のジャズシーンに大きな影響を与えました。彼の功績の中でも特筆すべきは、ジャズに関する執筆を始めたばかりの植草甚一を起用したことです。この起用は、植草甚一の才能を開花させるきっかけとなり、日本のジャズ評論の発展に大きく貢献しました。

音楽界への貢献とエッセイストへの転身

久保田二郎は、日本初のステレオLPレコードの制作や、現代のテレビ音楽番組のスタイルの確立にも尽力するなど、日本の音楽界に多大な貢献をしました。数年の沈黙期間を経て、彼はエッセイストとして復活し、その多才ぶりを発揮しました。また、テレビドラマに出演するなど、幅広い分野で活躍しました。

著作

久保田二郎は数多くの著作を残しており、彼の作品を通してその思想やライフスタイルに触れることができます。

『極楽島ただいま満員』晶文社 1976年
『ああパーティの夜はふけて』晶文社 1977年
『手のうちはいつもフルハウス』話の特集 1979年 のち角川文庫
『最後の二十五セントまで』冬樹社 1980年 のち角川文庫
『そして天使は歌う』冬樹社 1981年 のち角川文庫
『人生は楽しき集い LIFE GOES TO A PARTY』角川書店 1984年
『20世紀号ただいま出発 JIRO KUBOTA'S PANORAMIC ESSAY』マガジンハウス 1985年
『鎌倉幕府のビッグ・ウェンズデー』角川文庫 1986年
『ニューヨーク大散歩』新潮文庫　1987年
『アンド・ジ・エンジェルズ・シング 久保田二郎「傑作選」』河出書房新社 1999年

これらの著作は、彼の多岐にわたる興味や知識、そして独特のユーモアセンスを反映しており、多くの読者に愛されています。

久保田二郎は、日本の音楽文化に深く貢献しただけでなく、エッセイストとしても独自のスタイルを確立し、多くの人々に影響を与えました。彼の功績は、今後も日本の文化史において重要な位置を占め続けるでしょう。

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