久保田勇夫

久保田勇夫

久保田勇夫（くぼた いさお、1942年12月6日 - ）は、日本の大蔵官僚、実業家です。西日本フィナンシャルホールディングス代表取締役会長、西日本シティ銀行取締役を務めています。

生い立ちとキャリア

福岡県福岡市出身。福岡県立修猷館高等学校を経て、東京大学法学部を卒業後、大蔵省に入省しました。国際金融局に配属され、国際機構課長などを務めました。

大蔵省では、国際金融局次長、関税局長、国土庁官房長などを歴任し、国土事務次官を最後に退官しました。その後、アメリカの投資会社であるローンスターの日本法人会長に就任しましたが、後に西日本シティ銀行に招聘され、頭取に就任しました。

頭取在任中は、店舗の統廃合や公的資金完済など、経営体質の強化に尽力しました。2014年には代表取締役会長に退きましたが、その後も西日本フィナンシャルホールディングス代表取締役会長として、地域経済の発展に貢献しています。

人物像

久保田氏は、国際金融局国際機構課長時代に、上司から部下との接し方について助言を受けていました。部下の能力を認めつつも、指示に従わない場合に備えて、自ら業務を遂行する覚悟も持っていました。最終的には、互いの役割分担を明確にすることで、円滑な業務遂行を実現しました。

また、主税局から主計局への異動を打診された際には、自身の体調を考慮し、主計局入りを辞退したエピソードも残っています。このことから、自身の体調管理をしっかりとする人物であると伺えます。

西日本シティ銀行の頭取に就任した際には、「汗をかく、エキスパート」と紹介されており、その実直な人柄が窺えます。

主義・主張

久保田氏は、日本経済新聞のインタビューで、日銀の異次元金融緩和政策について、長期化によるコスト増大を指摘しました。マイナス金利政策が、銀行収益や年金制度に悪影響を及ぼす可能性を懸念しています。また、日本の公的債務比率の高さや、潜在成長率を高める構造改革の必要性を主張しました。

真の構造改革は、成長率の高いセクターを拡大し、低いセクターを縮小することだと述べており、社会不安が起きていない現状は、真の改革が進んでいない証拠だと指摘しています。

略歴

学歴
1961年3月 福岡県立修猷館高等学校卒業
1966年3月 東京大学法学部第2類（公法コース）卒業
1969年6月 オックスフォード大学経済学修士号取得

職歴

1966年4月 大蔵省入省
1967年6月 大臣官房付（留学）
1969年7月 理財局国債課企画係長心得
1970年7月 理財局総務課企画係長
1971年7月 会津若松税務署長
1972年7月 主税局国際租税課課長補佐
1973年7月 主税局税制第二課課長補佐（消費税）
1974年7月 主税局税制第一課課長補佐（法人税）
1976年7月 大臣官房文書課課長補佐（審査）
1977年7月 理財局資金第二課長補佐（総括・運用二）
1979年7月 国際金融局短期資金課課長補佐
1981年7月 国際金融局総務課企画官
1983年6月 大臣官房秘書課財務官室長
1985年6月 国際金融局国際機構課長
1986年6月 大臣官房参事官（副財務官）
1988年6月 国際金融局為替資金課長
1989年6月 大臣官房調査企画課長
1990年6月 海外経済協力基金総務部長
1992年7月 大臣官房審議官（国際金融局担当）
1994年7月 国際金融局次長
1995年6月 関税局長
1997年7月 国土庁長官官房長
1999年7月 国土事務次官
2000年9月 国土庁を退官、都市基盤整備公団副総裁就任
2002年7月 ローンスター・ジャパン・アクイジッションズ・LLC会長就任
2003年4月 帝京大学経済学部教授（国際金融論担当）
2006年6月 西日本シティ銀行代表取締役頭取
2014年6月 同代表取締役会長
2016年10月 西日本フィナンシャルホールディングス代表取締役会長（現任）、西日本シティ銀行代表取締役会長
2021年6月 西日本シティ銀行取締役
2024年6月 西日本フィナンシャルホールディングス特別顧問

著書

『新しい国際金融』（有斐閣、2006年）
『証言・宮澤第一次[1986-1988]通貨外交』（西日本新聞社、2008年）

脚注

[1] 参考資料1
[2] 参考資料2

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