久保田敬一

久保田敬一

久保田敬一（くぼた けいいち、1881年4月13日 - 1976年1月27日）は、日本の鉄道官僚、工学博士、そして貴族院男爵議員として、日本の近代化に大きく貢献した人物です。彼は、鉄道行政の中枢を担い、技術者としても優れた能力を発揮しました。また、社会活動にも積極的に参加し、幅広い分野でその名を残しました。

生い立ちと学歴

1881年（明治14年）、男爵であり文部大臣を務めた久保田譲の長男として生まれた久保田敬一は、幼い頃から恵まれた環境で育ちました。1905年（明治38年）には、東京帝国大学工科大学土木工学科を卒業し、その後、アメリカ合衆国に留学し、鉄道と橋梁建築について専門的な知識を深めました。この留学経験が、後の彼の鉄道官僚としてのキャリアに大きな影響を与えることになります。

鉄道官僚としてのキャリア

帰国後、久保田は鉄道院に入り、その技術力と行政能力を活かして、鉄道行政の様々な分野で重要な役割を果たしました。鉄道院技師、東京建設事務所長、鉄道省建設局線路調査課長、同工事課長、名古屋鉄道局長、東京鉄道局長、鉄道省運輸局長、そして鉄道次官といった要職を歴任し、鉄道網の整備と発展に尽力しました。特に、運輸局長時代には、外国製のバスが主流であった当時、国産バスの開発を推進するよう菅健次郎に指示したことは、日本の自動車産業の発展に貢献したと言えるでしょう。

退官後の活動

1934年（昭和9年）に鉄道省を退官した後も、久保田の活動は止まることなく、様々な分野で活躍しました。鉄道協会の理事を務めたほか、大日本体育協会の専務理事としてスポーツ振興にも貢献し、東京オリンピック組織委員会事務局長として、東京オリンピックの準備にも尽力しました。また、1938年（昭和13年）には、貴族院議員に補欠選挙で選出され、公正会に所属し、1947年（昭和22年）の貴族院廃止までその任を務めました。さらに、1943年（昭和18年）には、日本通運の社長に就任し、その経営手腕を発揮しました。その他、帝都高速度交通営団の評議員なども務めました。

その他の活動と晩年

1947年（昭和22年）の第1回参議院議員通常選挙に全国区から立候補しましたが、残念ながら落選しました。久保田敬一は、1976年（昭和51年）1月27日にその生涯を閉じ、染井霊園に眠っています。

親族

妻の父は、土木工学者で東京帝国大学教授であった広井勇です。長男の久保田広も工学博士となり、東京大学教授を務めるなど、学術分野でもその血筋を受け継いでいます。

栄典

1940年（昭和15年）8月15日には、紀元二千六百年祝典記念章を授与されています。

まとめ

久保田敬一は、鉄道官僚として日本の交通インフラの発展に尽力し、技術者として、また行政官としてその才能を遺憾なく発揮しました。退官後も、様々な分野で活躍し、その多才ぶりを示しました。彼の生涯は、日本の近代化の歴史と深く結びついており、その功績は今後も語り継がれていくことでしょう。

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