公正会

公正会：帝国議会における院内団体の興亡

日本の帝国議会において、院内団体として活動した「公正会」は、衆議院と貴族院という異なる場で、それぞれ独自の軌跡を描きました。本稿では、その歴史と活動内容、そして終焉に至るまでの経緯を詳細に解説します。

衆議院における公正会：短命に終わった合流

大正時代、第2次大隈内閣の総辞職後、新たな勢力図の中で生まれたのが衆議院の公正会です。1916年1[[1月25日]]に結成されたこの団体は、憲政会の結成に参加せず、旧与党の公友倶楽部と中正会の一部議員から構成されました。下岡忠治氏ら27名と花井卓蔵氏ら9名、合計36名によるこの集団は、しかしながら翌年の衆議院解散によって短い歴史に幕を閉じ、所属議員は全員無所属となりました。その後、第13回[[衆議院議員総選挙]]を経て、一部のメンバーは維新会に参加しています。衆議院における公正会は、その存在期間こそ短かったものの、当時の政界再編において重要な役割を果たしたといえるでしょう。

貴族院における公正会：男爵議員の結集と変遷

一方、貴族院における公正会は、1919年6月5日の結成から1947年5月2日の貴族院廃止まで、長きに渡り活動しました。貴族院においては、明治時代から男爵議員の糾合の試みはありましたが、成功に至っていませんでした。しかし、1919年、既存の会派である茶話会、土曜会、無所属団から男爵議員らが離脱し、63名の男爵議員と5名の勅選議員、合計68名という大所帯で公正会が結成されました。黒田長和、郷誠之助、岩倉道倶ら9名が幹事を務めました。

公正会の結成は、貴族院の勢力図を大きく変え、院内会派の再編を促しました。研究会をモデルに決議拘束主義を採用するなど、組織運営にも工夫を凝らしていました。選挙母体として五全会後に協同会を組織するなど、組織的な活動を展開しました。

しかし、公正会はその後も幾多の変遷を経験します。1922年には中川良長氏の除名問題が勃発し、親立憲政友会派の議員が離脱、親和会の結成へと繋がりました。親和会は後に研究会と合併しましたが、1925年の互選では公正会に議席を奪われ壊滅しました。

1925年以降、公正会は男爵互選議員のほぼ全てを擁するまでに成長し、研究会に次ぐ規模を誇る院内会派となりました。当初は研究会や立憲政友会に対抗する立場でしたが、1926年には内紛が発生し、決議拘束主義が撤廃されました。昭和時代に入ると、退役軍人出身議員が中心的な役割を担うようになり、天皇機関説事件における美濃部達吉氏糾弾にも活躍しています。最終的に、日本国憲法の施行と貴族院廃止によって、公正会は歴史の幕を閉じました。

まとめ：時代の変化を映す公正会

衆議院と貴族院という異なる場所で活動した公正会は、それぞれの場所で独自の展開を見せました。短命に終わった衆議院の公正会と、長きに渡り存在し、貴族院の勢力図に影響を与え続けた貴族院の公正会。いずれも、当時の政治状況や勢力均衡を反映した存在であり、日本の政治史を理解する上で重要な役割を担っています。公正会の歴史を辿ることは、大正から昭和にかけての日本の政治変遷を理解する上で貴重な手がかりとなるでしょう。それぞれの公正会が置かれた状況や、その活動内容、そして終焉に至るまでの経緯を詳しく分析することで、日本の近代政治史における重要な一端を深く理解することができるのです。

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