久武親直

久武 親直（ひさたけ ちかなお）

久武親直は、日本の戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将であり、長宗我部氏の一族に属していました。彼はその優れた才能と戦略的思考により、長宗我部元親や盛親から厚い信頼を寄せられていました。

略歴の概要

親直は、久武昌源の次男として誕生し、兄・親信が土居清良との戦いで戦死した際には、親信の遺領を引き継ぎ、内蔵助の名を名乗ることになります。この時期から彼の戦国武将としてのキャリアがスタートします。

天正7年（1579年）に兄が戦死すると、親直はその後の戦いで兄の名を受け継ぎ、戦略家としての頭角を現します。1584年には元親の指示で伊予軍代に任命され、宇和郡三間の攻撃を指揮しました。また、阿波方面では牛岐城主の新開道善を丈六寺で謀殺し、さらには中富川の戦いにおいて攻撃の時刻を元親に進言し、成功を収めました。こうした戦術的手腕は、彼の評価を一層高めました。

秀吉との関わり

また、秀吉による四国征伐の際には、長宗我部氏の同盟者であった金子元宅に誓いの書状を送り、連携を強化するなど、戦略面でも貢献したことが伺えます。1586年には、京の方広寺大仏殿の建設に際して材木の伐採や搬出の監督を務めたが、この時に吉良親実と意見が対立しました。

後継問題と陰の戦略

1588年、長宗我部氏内で後継者選びの問題が起こると、親直は元親の意向を受けて盛親の擁立に力を注ぎ、反対派の親実と対立しました。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、西軍が敗北すると、親直は津野親忠が藤堂高虎と結託していると主張し、盛親に親忠を切腹させるよう進言しました。しかし盛親はこれを拒否し、親直は親忠に対する恐怖心から密かに彼を切腹させたとされています。この事件は後に徳川家康の耳に届き、盛親の処罰が議論されましたが、井伊直政の助命により、彼は死罪を逃れました。

改易後の動向

その後、長宗我部氏の改易が決定されると、親直は浦戸城を守るように求める長宗我部の遺臣たちの意見を退け、降伏する道を選びました。開城後には肥後国に赴き、加藤清正に仕官し、1000石を得るもその転向を非難されました。

逸話と評価

親直にまつわる逸話として、兄・親信が出陣する際に元親に「討ち死にした際には弟には承継させないでほしい」と進言したという言葉が残っています。これは、親直の将来を見越した親信の計らいであり、戦国時代における兄弟間の重い期待と責任の感情を物語っています。

このように久武親直は、戦国の波乱の中で数多くの戦術と策略を用いながら、複雑な家族関係や権力闘争に翻弄されていった武将でした。

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